ASMLの25年Q1は増収増益、EUV好調も関税に強い懸念:予測を上回る(1/2 ページ)
ASMLは2025年4月16日(オランダ時間)、2025年第1四半期の業績を発表した。AIブームによって活気付いた強力な需要を受け、収益予測を上回る結果となった。
世界半導体サプライチェーンに不可欠な存在であるオランダASMLが、2025年第1四半期の業績を発表した。AIブームによって活気付いた強力な需要を受け、収益予測を上回る堅調な成長を遂げたという。一方で、特に最近発表された関税の影響などをはじめとする地政学的な逆風によって、不確定要素が増大していることについても警鐘を鳴らしている。
ASMLによると、2025年第1四半期の売上高は77億ユーロに達し、事前ガイダンスに沿う結果になったという。同社のCFO(最高財務責任者)であるRoger Dassen氏は、このような優れた業績を達成できた要因として、既存の「NXE:3600」と比べて新モデル「NXE:3800」の構成割合が高くなったために高性能極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の平均販売価格(ASP)が上昇したという点を挙げている。
また同氏は「EUV装置の構成が、想定以上に充実していたという点もある。われわれは2025年第1四半期に、顧客特有の性能目標をいくつか達成したことで利益を享受し、その見返りを得ることができた」と指摘する。
2025年第1四半期の純利益は、24億米ドルに達した。これは、前年同期の売上高52億9000万ユーロ、純利益12億2000万ユーロと比べると、大幅な増加となる。また、ASMLの2025年第1四半期の受注高は39億ユーロで、うち12億ユーロがEUV受注だったという。
同社のCEOであるChristophe Fouquet氏は「AIは現在も市場をけん引しており、強力な需要が続いている。当社の2025年第1四半期の売上高は、ガイダンス通りとなる77億ユーロに達した。売上総利益率は54.0%で、EUV製品ミックスが優れていたことや性能マイルストーンの達成などにより、ガイダンスを上回る結果となった。2025年第1四半期に、5台目となる高NA(開口数)EUVリソグラフィ装置を出荷し、この装置の納入先顧客は3社となった」と述べる。
Fouquet氏は、2025年の2つの潜在シナリオについて説明し「AI需要が急増して顧客が生産能力を追加することができれば、売上高ガイダンスの上限となる300億〜350億ユーロに達する可能性がある」と述べる。
また逆に、一部の顧客企業の間の不確実性によって、売上高ガイダンスの範囲の下限に近づく可能性もある。同氏は、特に、顧客企業が現在力を入れている2nm世代プロセスのような高性能ロジックノードによってけん引される、ロジック分野における強みを強調した。
メモリは引き続き2024年と同じレベルで堅調を維持するとみられ、一方ではインストールベース事業(Installed Base business)が成長を遂げている。その一部の要因としては、EUV装置の方が深紫外線(DUV)装置よりも製品ミックスが向上しているという点が挙げられる。
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