25年の半導体市場も2桁成長へ 非AI領域は地政学リスクで弱含み：24年は19％成長（1/2 ページ）

世界半導体市場統計（WSTS）の最新予測によると、2025年の半導体市場は前年比11.2％増の7008億米ドルに成長する見込みだ。AI関連のメモリ／ロジックが好調だが、それ以外の領域は地政学リスクの影響が大きいという。

[浅井涼，EE Times Japan]

　世界半導体市場統計（WSTS）は2025年6月3日（米国時間）、2025年春季の半導体市場予測を発表した。これによると、2024年の世界半導体市場は前年比19.7％増の6305億4900万米ドルに達した。2025年にはさらに同11.2％増の7008億7400万米ドルに拡大する見通しだ。

2024年は生成AIとデータセンター投資がけん引、メモリが急伸

　2023年の世界半導体市場は前年比8.2％減の5268億8500万米ドルと4年ぶりのマイナス成長だったが、2024年にはメモリやロジック製品を中心に大きく回復。生成AI関連の急速な普及を背景にデータセンター投資が引き続き活発で、AI演算に不可欠なDRAMおよびNAND型フラッシュメモリといったメモリ製品やGPUなどの高性能ロジック製品が市場の成長を支えた。

　WSTSによると、2024年のメモリ市場は前年比79.3％増の1655億1600万米ドルに達したとみられる。ロジックは同20.8％増の2157億6800万米ドルと推測される。一方、センサー＆アクチュエーター（同4.1％減）、オプトエレクトロニクス（同4.8％減）、ディスクリート（同12.7％減）といった非AI関連の製品群は軒並み前年割れが続いていて、市場の成長は特定分野に偏っている。

世界半導体市場の予測サマリー［クリックで拡大］ 出所：WSTS日本協議会

2025年はさらなる拡大へ

　2025年も市場の拡大は続くと予測されていて、世界半導体市場全体では前年比11.2％増の7008億7400万米ドルに達する見込みだ。生成AIの適用領域は、クラウドからエッジへと広がりつつあり、AI機能搭載端末やIoTデバイスの需要も底上げ要因となっている。こうした背景から、メモリは同11.7％増の1848億4100万米ドル、ロジックは同23.9％増の2672億5900万米ドルと2桁成長を継続。アナログは同2.6％増、マイクロは同1.0％減と控えめながら、IC全体としては13.4％の成長が見込まれている。

　ただし、WSTSはAI以外の分野においては、依然として地政学的リスクの影響が大きく、特にスマートフォンや家電向けの回復は中国の補助金政策に左右される面があるとし、通年では弱含みとした予測を提示している。