「ファウンドリー事業完全放棄の可能性」、Intel CEOが言及:サーバ向け事業では改善の兆しも(2/2 ページ)
Intelは2025年7月24日(米国時間)、2025年第2四半期業績を発表した。多くのニュースが伝えられた中で特に関心を集めたのは、ファウンドリー事業と高コストな「18A」プロセスだった。
15%の人員削減 卓越した技術力を取り戻せるか
Tan氏はこの他にも、Intelの企業文化の変革を促進すべく、官僚主義や中間管理職の大幅な削減に取り組む。同氏はこのような制約がIntelのイノベーションを妨害していると考えているのだ。IntelはTan氏の指揮のもと、2025年末までに再建計画を完了させる予定だという。
Intelは業績発表の中で、15%の人員削減を実施する計画を明かした。それによって同社の従業員数が2025年末までに7万5000人に減少する見込みだ。ただしCFO(最高財務責任者)であるDavid Zinsner氏は「削減する役職の数については、まだ最終決定していない」と述べている。
Intelとその子会社の従業員数は、2024年末の時点で10万8900人だった。また今回のレイオフは、Intelが2024年末に発表した100億米ドル規模のコスト削減計画の一環でもある。同社は2025年7月初めに、オレゴン州で2400人の従業員を解雇している。
Gold氏は「解雇された従業員には残念なことだったが、Intelは人件費を削減し、主要でないプログラムを縮小する必要があった。また、管理構造を水平化することが社内のあらゆる機能を全体的に効率化する上で役立つだろう」と述べている。
Intelは人員削減によって2025年第2四半期の再建コストが19億米ドルになったとしている。一方、同社は引き続き、退職金制度の拡充や自主退職プログラムも実施していくという。Gold氏は「Intelはかつて、際限のない卓越したエンジニアリングを実現していたが、ここ数年の間にその力が衰えてしまった。それを復活させる必要がある」と述べる。
まだ長いIntel業績回復への道のり
Intelは、AIの優位性をNVIDIAに、PC/サーバチップの市場シェアをAMDに奪われ、複数分野の最前線で逆転を狙っている。同社の業績は2024年に、1986年以来初めてとなる赤字に転じた。その後6カ月連続で純損失を計上し、2025年第2四半期には合計純損失額が12億5000万米ドルに達している。
同社のファウンドリー事業は、誰もが気付いていながら触れづらい重要な問題であるが、これまで数四半期にわたり低迷していたサーバ向けチップは、2025年第2四半期に回復の兆しを見せている。売上高は約20%増加し、36億6000万米ドルに達する見込みだ。さらに、PC/サーバ向けチップを含む製品事業部門はの売上高は、予測されていた109億米ドルを上回り、118億米ドルに達している。
Gold氏によると、IntelはPC市場で苦戦を続けているという。「ノートPC向けの次世代チップが間もなく登場し、PC向け事業を後押しするだろうが、エンドユーザーとなる企業がPCの買い替えにどれだけ投資するかは分からないので、逆風は続いている」(Gold氏)
これらは何年にもわたって戦略的に失敗し続けていたIntelの再生に向けた努力の中で、小さな勝利だ。IntelはAlteraやMobileyeなどの非中核資産を売却しながら、AI戦略を活性化しようとしている。
Gold氏は「Intelの状況は改善しつつあるが、完全な状態に戻るにはまだ長い道のりがある」と結論づけた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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