「LiDARより高精度で低コスト」ソニーのエッジAI、スマート都市で真価:米国で実証、25年中に日欧へ展開(3/4 ページ)
エッジAIソリューション「AITRIOS」に注力するソニーセミコンダクタソリューションズ。スマートシティー分野において米国で実績を上げ、本格的な採用拡大に向けた取り組みを進めている。担当者に詳細を聞いた。
LiDARより高精度、コストも50%以上安く
もう1つの事例は、コロラド州レイクウッド市における、交通安全プロジェクトだ。
同市では、過去10年間に発生した交通死亡事故の90%以上が、1.6kmほどのある特定の道路に集中していたという。具体的には、片側三車線を高速で車が行き交う幹線道路を歩行者が常習的に横断している場所だ。同市はこの対策として、街灯をより明るくすることに加え、歩行者が道路に侵入した際に検出し、路側帯のLED照明でドライバー向けに通知するシステムを導入。このシステムで、SSSのソリューションが実証プロジェクトとして実施された。
SSSのソリューションでは、事故やニアミスの多い交差点や直線道路区間における車両の動きや歩行者の横断などを、難しい天候や光環境においても、高精度かつリアルタイムの検知を実現した。なお、設置場所は交差点ではないため、電源設備の設置が困難だったが、SSSらのエッジAIカメラは前述の通り低消費電力が特長の一つであり、今回、太陽光パネルおよび蓄電バッテリーを用いることで、この課題を解決した。
なお、レイクウッド市はこの実証実験実施に当たり、LiDARや、カメラとGPUを用いた従来型システムとSSSのソリューションの比較評価も行っていたという。この評価は同市が独自に基準を定めて実施したものだが、下図右下の表の通り、SSSのソリューションは100%の検出精度を達成。精度でLiDARや従来型システムを上回ったうえ、他システムに対して50%以上のコスト削減も実現したとしている。
この実証実験は2024年3〜8月の期間で実施された。実施された区域では街灯の工事などを待つ形となっているというが、この結果を受け、同市内の別の地域での導入が予定されているという。
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