Xiaomi 15S Proを分解、10年かけて磨き続けた半導体開発力:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(96)(3/4 ページ)
今回は、創立15周年を迎えたXiaomiのハイエンドスマートフォン「Xiaomi 15S Pro」を取り上げる。Xiaomiが独自開発した3nm世代適用チップ「XRING O1」を搭載した機種だ。
XRING O1のパッケージ詳細
図5はXiaomi独自開発の3nmプロセッサXRING O1のパッケージの様子である。パッケージ裏面には電源安定化のためのシリコンキャパシター、セラミックコンデンサーが埋め込まれている。容量効果が大きいように高速動作の演算器の直上に設置されている。QualcommやAppleらも同様にパッケージ内にキャパシターを埋め込み、機能と特性の両立設計を行っている。プロセッサ自体のシリコン設計とキャパシターの配置、端子経路など、一元開発を行わないと整合性は取れないので、Xiaomiも機能設計と特性設計を同列で行っていることは間違いないだろう。
図6はXiaomi XRING O1のチップ開封および配線層剥離写真、シリコン上の型名である。シリコン上にはXiaomiの社名ロゴの「MI」が搭載されている。XRING O1上には4大演算器が搭載されている。10コアのCPU(2基の最上位CPU X925)、16コアのGPU、6コアのNPU(Neural Processing Unit)、3コアのISP(Image Signal Processor)。いずれも最新最上位のバージョンのものが搭載され、コア数もQualcommやMediaTekより多い。数字だけで判断できない要素もあるが、スペック上では現時点でトップだ。なぜXiaomiは、低成長のスマートフォン向けにわざわざプロセッサを開発したのか。Xiaomiのみならず中国の多くのプロセッサメーカーは、ロボティクスや車載など多分野にも広げることを視野に入れているのは間違いないだろう。
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