ソシオネクストが通期利益を下方修正、25年2Qは増収減益:売上高は上方修正(1/2 ページ)
ソシオネクストの2025年度第2四半期(7月〜10月)売上高は前年同期比13.5%増の527億円、営業利益は同56.0%減の23億円、純利益は同60.2%減の16億円で増収減益だった。同社は通期予想について、売上高を上方修正した一方、減益幅が拡大する見通しを示した。
ソシオネクストは2025年10月31日、2025年度第2四半期(7月〜10月)の決算説明会を行った。2025年度第2四半期の売上高は前年同期比13.5%増の527億円、営業利益は同56.0%減の23億円、純利益は同60.2%減の16億円で、増収減益だった。一部製品の出荷が前四半期から後ろ倒しになった他、中国向け車載の新規量産品が立ち上がりつつあることから売上高が増加した一方、製品粗利率の悪化や開発費用の増加が利益を圧迫した。
中国向け7nm車載新規量産品の立ち上がり
2025年度第2四半期業績を詳しく見ると、製品売り上げは、円高による為替影響(−6億円)があったものの、中国通信機器向け製品で前四半期から出荷の後ろ倒しがあったことおよび、新規量産品が立ち上がりつつあることから、前年同期比68億円増で着地した。一方で設計開発段階に顧客から対価として受け取る売り上げである「NRE売り上げ(Non-Recurring Engineering)」は5億円の減収(うち為替影響が−1億円)だった。
この新規量産品とは、中国向けで7nmプロセスの先進運転支援システム(ADAS)用製品で、同社は前回決算説明会でも、2025年度第2四半期以降の売り上げのけん引役として同製品を挙げていた。
ただ、売上高が計63億円増となった一方で、営業利益は製品原価率の上昇による製品粗利益の悪化(−18億円)および、先行開発のための開発費増加の影響(−7億円)によって、前年同期比30億円減となった。
新規量産品が初期段階で予想を上回る受注、利益率が悪化
ソシオネクストの会長兼CEOである肥塚雅博氏は今回、この製品粗利益の悪化の要因にについて詳細を説明。具体的には、比較的原価率の高い新規品の量産が始まったことによる製品構成の変化および、それに伴う間接為替の影響があった。さらにこの新規量産品の数量が、原価率の高い量産初期段階で当初予想を上回って増加したうえ、当初予想より原価率改善が遅れたことが原因だとした。
肥塚氏によると、通常の新規量産品では、販売数量の少ない量産開始時には原価率が高くなるものの、その後一定の時間経過とともに歩留まり改善や検査時間短縮などの原価率改善が進んでいくという。しかし今回の新規量産品では、この原価率の改善が、量産水準が当初予定を上回って拡大したこともあって高止まりし、結果として当社全体の原価率に影響を与えたとしている。肥塚氏は「車載の顧客は非常にアグレッシブで、市場で生かせる性能を発揮する製品を、早く市場に導入したい、プロダクトラインを拡大したいという要望がある。数量の拡大によるテストのコスト増などが影響し、当初想定より原価率改善が遅れている」と説明した。
なお、原価率は2025年度末から2026年度にかけて当初想定の水準に戻っていく見込みで、「2026年度以降は、製品構成や新規量産品の状況等によるが、2025年度に対して改善していくものと見ている」としている。
また先行開発のための研究開発費に関しても2025年度、「先端分野での開発を当初予想を上回って積極的に行うことにした」と説明。売り上げ増に伴うレバレッジは期待できるものの開発費の増加によって、2025年度の売上高研究開発費比率は前年度と同水準になる見込みで、さらに2026年以降も同水準あるいはさらに先端技術投資を行っていく方針だ。ただ売り上げの増加によるレバレッジで売上高研究開発費比率は低下していく見込みになっている。
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