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AIデータセンター向けでGaNやSiC品開発、IPMで新市場狙うサンケン電気中国の自国製シフトが業績に響く(1/3 ページ)

サンケン電気は、AIデータセンターの空調/液冷システムに向け、高耐圧の窒化ガリウム(GaN)および炭化ケイ素(SiC)パワー半導体搭載IPMの展開を計画している。2025年11月12日の決算説明会で、同社社長の高橋広氏が計画を語った。

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 サンケン電気は、AIデータセンターの空調/液冷システムに向け、高耐圧の窒化ガリウム(GaN)および炭化ケイ素(SiC)パワー半導体搭載IPMの展開を計画している。中国の自国製半導体シフトが加速し、主要市場の白物家電向けで売り上げが急減する中、小型、高効率、高機能を実現する要素技術を組み合わせた製品で新市場を開拓する。2025年11月12日の決算説明会で、同社社長の高橋広氏が計画を語った。

中国の白物家電向け、中国の自国製半導体シフトで急減

 サンケン電気の2025年度上期業績(2025年4〜9月)は売上高が410億円、営業損益は9億円の赤字、純損益は14億円の赤字だった。なお前年同期と比較すると売上高が大幅に減少した形だが、これは2024年第2四半期から子会社だったAllegro MicroSystems(以下、アレグロ)が2024年8月に持ち分法適用関連会社となって連結対象から除外されたことによるものだ。

サンケン電気の2025年度上期業績
サンケン電気の2025年度上期業績[クリックで拡大] 出所:サンケン電気

 アレグロを除くサンケン電気本体主導の半導体ビジネスを指す「サンケンコア」では売上高が前年同期比11.8%減の395億円、営業利益が同8億円減の7億円の赤字になった。2024年5月の予想比では、売上高が7.3%下回ったが、営業利益は予想通りで着地した。この売り上げ減の主な要因とするのが、白物家電市場で約50%を占めてきた中国向けの売り上げの急減だ。

 2025年度上期のサンケンコアの売り上げを市場別にみると、白物家電市場では、中国の自国製半導体への切り替えが進んだことを主因に中国向けIPMが急減し、同38億円減(同7億円)となった。自動車市場は前年同期比7億円減(うち為替の悪影響3億円)の149億円だった。内燃機関(ICE)向けは堅調なものの、EVキャズム(キャズム:普及の初期段階と一般曹への普及期段階の間で一時的に需要が減ったり停滞する現象)の影響で減収になったとしている。産機/民生は同8億円減(同3億円)だ。

 売り上げ減少の主因となった白物家電市場の中国向けについて、四半期推移をみると、2025年度第2四半期(7〜9月)の売上高は前年同期比で27億円減、前四半期からも22億円の急減となった。

サンケンコアの市場別売上高(四半期推移)サンケンコア白物家電市場の中国向け売上高(四半期推移) 左=サンケンコアの市場別売上高(四半期推移)/右=白物家電市場の中国向け売上高(四半期推移)[クリックで拡大] 出所:サンケン電気

 この要因はローカル半導体メーカーの台頭に加え、米中貿易摩擦によって中国の各セットメーカーが自国製半導体への切り替えを急速に進めた影響だという。高橋氏は「現在この時期はちょうど『独身の日』セールでルームエアコンの消費が盛り上がるところだが、不動産不況による住宅販売の低迷がなお継続し、低価格機種へのシフトもあり、セットメーカー同士の競争が激化している状況だ」と説明。また、中国大手の半導体メーカーの躍進に加え、複数の中国の中堅メーカーが新たに台頭してくるなど、中国ではパワー半導体の競争環境が激化しているという。

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