不適切会計疑惑のニデック「心からおわび」、損失877億円計上:調査は継続、今後修正の可能性も(1/3 ページ)
不適切会計の疑いで揺れているニデックが2025年度上期(2025年4〜9月)決算を発表した。売上高は前年同期比85億円増の1兆3023億円だった一方、営業利益は同994億円減の211億円となった。車載用製品事業で、顧客との契約の履行に伴って発生する可能性が高い損失に備えた引当金など計877億円の損失を計上したことが減益の主因だ。
不適切会計の疑いで揺れているニデックが2025年11月14日、2025年度上期(2025年4〜9月)決算を発表した。売上高は前年同期比85億円増の1兆3023億円だった一方、営業利益は同994億円減の211億円となった。車載用製品事業で、顧客との契約の履行に伴って発生する可能性が高い損失に備えた引当金など計877億円の損失を計上したことが、減益の主因だ。
なお、現在も第三者委員会の調査が継続中で、同社は「過年度および当年度の有価証券報告書に訂正すべき事項の重要な虚偽表示が識別された場合には、本決算情報も修正される可能性がある」などとしている。
「心からおわび」とニデック社長、永守氏は出席せず
ニデックではイタリア子会社Nidec FIR Internationalの関税支払いを巡る問題や、中国子会社の不適切な会計処理疑いなどが相次いで発覚。2025年第1四半期の決算短信提出も遅れ、業績速報値での公表にとどまっていた。2025年9月には第三者委員会を設置し、現在も調査を継続している。同月には、同社を担当する監査法人のPwCジャパンから「意見不表明」とされたまま2025年3月期の有価証券報告書を約3カ月遅れで提出した。また、同10月には東京証券取引所に特別注意銘柄に指定されたほか、同11月には日経平均の構成株価からも除外されている。
ニデックは今回、2026年3月期半期報告書の要約中間連結財務諸表についても、PwCジャパンから「レビュー結論不表明」とする報告書を受領したことを発表している。
今回の決算会見にはニデック社長の岸田光哉氏や副最高財務責任者(CFO)の中川一夫氏、最高コンプライアンス責任者の南井正之氏が登壇。岸田氏は株主や投資家、東証、顧客、仕入れ先に対して「多大なるご迷惑をおかけし、7月24日の第1四半期業績速報値説明会以降、直接説明する場を設けられなかったことを、心からおわびする」と謝罪した。
なお、今回、ニデックの創業者でグローバルグループ代表である永守重信氏やCFOの佐村彰宣氏は出席しなかった。この理由について岸田氏が記者の質問に答える形で説明。永守氏については「2024年4月以降、こうした決算の場には出ていない。現在私が最高経営責任者として執行の全てを預かっているので、この場にいるのは適切ではないと考えている」とした。佐村氏については「現在、第三者委員会も含めた調査の主な内容が会計問題にあるということから、第三者委員会の調査中はCFOの経理ラインの役割は外れてもらっている」とし、現在その役割を担当している副CFOの仲川氏が出席しているとした。
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![決算会見で頭を下げるニデック最高コンプライアンス責任者の南井正之氏(左)と同社長の岸田光哉氏(中)、同副最高財務責任者(CFO)の中川一夫氏[クリックで拡大] 出所:ニデック](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2511/17/jn20251117nidec002.jpg)