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「サステナブルな半導体製造」ってどうやるの? JASM熊本工場で見てきた熊本第一工場の環境方針を紹介(1/2 ページ)

JASMは2025年11月12日、熊本第一工場における環境方針「グリーン・マニュファクチャリング」の記者説明会を実施し、温室効果ガス管理や水処理施設の解説などを行った。

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 TSMCの製造子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(以下、JASM)は2025年11月12日、熊本第一工場における「グリーン・マニュファクチャリング」の取り組みについて記者説明会を開催した。

JASM水処理施設内部
JASM水処理施設内部[クリックで拡大]出所:JASM

JASMが目指す、持続可能な半導体製造

JASMファシリティデパートメントマネジャー坂本龍治氏
JASMファシリティデパートメントマネジャー坂本龍治氏 出所:JASM

 JASMの熊本第一工場は、2024年2月に稼働を開始した。半導体の製造には多くの水やエネルギーを必要とすることから、TSMCおよびJASMは環境への負荷を最小限にするグリーン・マニュファクチャリングを、経営の方針として掲げている。

 JASMファシリティデパートメントマネジャーの坂本龍治氏は「国内で半導体製造への投資が高まる中、環境負荷や環境保全への関心が高まっていることも感じている。JASMは環境への配慮なしに生産活動の持続はできないと考えている。2025年11月10日からは国連気候変動会議(COP30)が開催されていることもあり、当社の持続可能な生産活動の取り組みについて知ってもらおうと考えた」と述べた。

 グリーンマニュファクチャリングでは、「エネルギー管理」「温室効果ガス対策」「水資源管理」「廃棄物管理」の4つを柱として取り組みを行っている。各種基準値などは現地行政のレギュレーションなどによって異なってくるものの、グリーンマニュファクチャリングのシステム自体は、TSMCと共通のものだ。

 JASMは、温室効果ガス(GHG)排出量の算定/報告するための国際基準「GHGプロトコル」に沿って取り組みを進めている。直接的なガス排出に対応する「スコープ1」、節電などの取り組みでガス排出を間接的に削減する「スコープ2」をあわせて、すでに計算上は温室効果ガス排出量を0にできているため、今後は輸送や配送、リース資産の精査など、さらに間接的な要因の「スコープ3」に焦点を当てていくという。

温室効果ガス、エネルギー管理への取り組み
温室効果ガス、エネルギー管理への取り組み 出所:JASM

 「JASMは2050年までに温室効果ガスのネット・ゼロエミッションを目標としている。スコープ3の削減はJASM、TSMC共通の課題で、達成にはさまざまなハードルが待ち受けていると思うが、全社一丸となって取り組んでいきたい」(坂本氏)

 廃棄物管理に関しては、「燃やすから生かす」へのシフトを目指し、特に再利用とリサイクルに注力する。徹底した廃棄物の分別によって、2024年には廃棄物リサイクル率約95%を達成したが、2025年はそれより1%高い96%のリサイクル率を達成見込みだという。

サーキュラーエコノミー(廃棄物再利用)の取り組み
サーキュラーエコノミー(廃棄物再利用)の取り組み[クリックで拡大]出所:JASM

 要因の一例として挙げられたのが、廃フッ化水素酸の処理だ。従来であれば、廃フッ化水素酸は中和作業を行ってからセメント原料として再利用していたが、現在はガラスエッチングメーカーの協力のもと、ガラス洗浄用の素材として受け渡し、廃フッ化水素酸のままで適切に活用する方式に変更した。

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