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NVIDIAがSynopsysに20億ドル投資 EDAツールに何をもたらすのか両社CEOが会見(1/2 ページ)

NVIDIAがSynopsysに2億米ドルを投資すると発表した。半導体設計やシミュレーション、検証の高速化や高精度化、低コスト化を加速させるという。両社の協業はEDAツールに何をもたらすのだろうか。

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 NVIDIAとSynopsysは2025年12月1日(米国時間)、両社が「業界全体の設計/エンジニアリングを革命的に変化させる拡大戦略的パートナーシップ」と呼ぶ、提携を結んだと発表した。これに基づき、NVIDIAがSynopsysに20億米ドルを投資し、両社がエンジニアリングリソースにコミットすることで、設計やシミュレーション、検証、アクセラレーテッドコンピューティング能力などを融合し、半導体設計だけにとどまらず、あらゆる製品開発環境に提供していくという。

 両社は公式発表で「今回の拡大パートナーシップにより、NVIDIAの強みであるAI/アクセラレーテッドコンピューティングと、Synopsysのエンジニアリングソリューションを統合することで、研究開発チームがインテリジェント製品の設計やシミュレーション、検証をより優れた精度やスピード、かつ低コストで実現できるような機能を提供していく」と述べている。

 NVIDIAの創設者でありCEO(最高経営責任者)を務めるJensen Huang氏と、Synopsysのプレジデント兼CEOであるSassine Ghazi氏はウェブキャストで発表を行い、Huang氏は「今回の拡大パートナーシップにより、われわれに新たな市場機会が開かれるだろう。両社にとって、とてもエキサイティングな瞬間だ」と述べている。

NVIDIAのJensen Huang氏(左)とSynopsysのSassine Ghazi氏
NVIDIAのJensen Huang氏(左)とSynopsysのSassine Ghazi氏

 Huang氏は「このパートナーシップの非常にエキサイティングな点は、NVIDIAとSynopsysの間で、例えば、CUDAによるソフトウェアの加速や、フィジカルAIによるエミュレート、当社の3D設計コラボ基盤『Omniverse』上でのデジタルツイン接続など、広く深く連携していくということだ」と付け加える。

 「その規模は非常に幅広く深いため、われわれは非常に重要なチームを設置し、これら全てのソフトウェアツールを加速させ、Synopsysが市場に投入できるような新製品を開発していくという役割を相互に割り当てている。今こそがチャンスだ。SynopsysとEDA業界はこれまで、数千億米ドル規模の半導体業界に対応してきたが、今やあらゆる製品に対応する数兆米ドル規模の業界へと市場機会が拡大していくだろう。将来的には、全ての製品がデジタルツインで設計されるようになる見込みだ」(Huang氏)

パートナーシップの内容

 拡大パートナーシップでは、以下のイニシアチブにおいて協業していく考えだという。

  • NVIDIAのCUDA-XライブラリとAI物理技術を用いて、半導体設計や物理検証、分子シミュレーション、電磁気解析、光学シミュレーションなど、Synopsysの計算集約型アプリケーションの幅広いポートフォリオを加速/最適化する
  • SynopsysのAgentEngineer技術とNVIDIAのエージェンティックAI技術スタックを融合し、EDAやシミュレーション/解析ワークフローに向けた自動設計機能を実現することで、エージェンティックAIワークフローの実現に向けたエージェンティックAIエンジニアリングを推進する
  • デジタルツインで物理世界とデジタル世界を接続:半導体やロボティクス、航空宇宙、自動車、エネルギー、産業、ヘルスケアなどのさまざまな業界に向けて、高精度かつ高性能なデジタルツインを用いた次世代のバーチャル設計や試験、検証を実現する
  • クラウド対応ソリューション:GPUアクセラレーテッドエンジニアリングソリューションに向けたクラウドアクセスを実現することにより、あらゆる規模のエンジニアリングチームが利用できるようにする
  • Synopsysの幅広い顧客ベースと、シノプシスのシミュレーションソリューションに組み込まれたOmniverseテクノロジーのライセンス、販売、サポートに関する既存の契約に基づき、オンプレミスとクラウド対応の両方のソリューションを使用して、業界のエンジニアリングチームに広くリーチするための共同のGo-To-Marketイニシアチブを開発する

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