TSMCは2nmで主導権維持、SamsungとIntelに勝機はあるか:Rapidusは『ワイルドカード』?(3/3 ページ)
米国EE Timesが調査した複数のアナリストによると、TSMCは、最近生産開始を発表した2nmプロセスによって、今後数年にわたって高度な半導体ノードでライバルのSamsungとIntelを凌ぐ見込みだという。
Rapidusに対する見解
なお、日本のスタートアップであるRapidusについては「不確定要素(wildcard)だ」とする。「Rapidusは、2027年に2nmの量産を開始する計画で、サプライチェーンの主権を重視する日本およびアジアの顧客にとって、信頼できる選択肢となる可能性がある。こうした顧客は、特定の先端ノードプロジェクトをファウンドリーと共同開発する意欲を持っている」(Triolo氏)
TSMCは、SamsungのようなGAA導入の失敗を回避するため、GAAの導入をN3ではなくN2からと遅らせ、早期顧客テープアウトによる長期ベースライン/歩留まり向上プログラムを実施し、スケジュール通りの量産開始を宣言することで、リスクを低減したように見えるとTriolo氏は分析する。
N2の真価はこれから、だがTSMCには『実績』がある
「『難所』が全て解決されていると確信できるのは、N2でスマートフォン向けやHPC(高性能コンピューティング)向けの高ボリューム製品が複数出荷され、安定した歩留まりと予測可能な立ち上がりスピードが2026年を通じて示されたときだ。初期段階のGAAで問題が表面化しやすいのは、SRAMや大電流ブロックの挙動だ。また、テープアウトから量産までの期間や、スケジュールの大幅な遅れが生じるかどうかにも注目すべきだ」(同氏)
TSMCのこれまでの実績を踏まえると、同社はこうした課題を2026年までに乗り越える可能性が高いと、Triolo氏は付け加えた。
「TSMCがつまずき、IntelやSamsungにチャンスを与えるという見方は、最良の賭けとはいえないだろう」と、Triolo氏は結論づけている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
AIサーバの高性能化に不可欠となった先進パッケージング技術
2025年12月の国際学会IEDMで、TSMCが最新のパッケージング技術について講演した。本シリーズは、その内容の一部を紹介する。
TSMCでも足りないAI需要 Rapidusにチャンスか
TSMCは2026年、生産能力拡大に向けて520億〜560億米ドル規模という記録的な設備投資を予定しているが、それでもAIチップ需要への対応には不十分とみられている。アナリストは、TSMCの競合企業が参入機会を得る可能性を指摘している。
TSMCが設備投資増額へ、26年は最大560億米ドル
TSMCの2025年第4四半期(10〜12月)業績は、売上高が1兆460億9000万ニュー台湾ドル(337億3000万米ドル)で、前年同期比20.5%増、前四半期比5.7%増。純利益は5057億4000万ニュー台湾ドル(160億1000万米ドル)で、前年同期比35.0%増、前四半期比11.8%増だった。同社はまた、2026年、520億〜560億米ドルを設備投資に充てる計画も明かした。
2026年の半導体市場を占う10の注目トピック
ことし2026年の半導体市場を占う意味で、筆者が注目すべきトピックを独断と偏見で10件ほどピックアップしてみた。
米政府が「H200」の対中輸出容認、NVIDIAはチャンスを生かせるか
米政府がNVIDIAのAIプロセッサ「H200」の対中輸出を容認する方針を表明した。一方で中国では、先端半導体も含めて自給自足しようとする動きが継続している。地政学的な“綱引き”が続く中、NVIDIAは中国市場というチャンスを生かせるのか。
TSMC熊本工場は台湾に並ぶ歩留まり 地下水保全も重視
TSMCの製造子会社であるJASM 社長の堀田祐一氏は「SEMICON Japan 2025」内のセミナープログラム「世界に貢献する日本の先端半導体戦略」に登壇。熊本工場の現状や環境保全の取り組みについて語った。