「NVIDIAとGroqの取引」がAI新興にもたらした2つの効果:事実上の買収(1/3 ページ)
2025年12月、NVIDIAがGroqを事実上買収することが発表された。この取引は、AI半導体を手掛けるスタートアップ各社に大きな波及効果をもたらしているという。
2025年12月、NVIDIAが、Groqの技術に対する非独占的ライセンスを200億米ドルで取得し、技術チームの大半の人材を迎え入れることが報じられた。この影響により、AIチップ業界全体に2つの大きな波及効果がもたらされている。
1つ目は、NVIDIAが、商業的理由ではなくGroqの技術を目的に事実上買収したのだとすると、非GPUアクセラレーターの大規模市場が確実に存在することが実証されるという点だ。
AIチップメーカーは、超高速のシングルユーザートークン速度と、最初のトークンが出力されるまでの時間(TTFT:Time To First Token)がGPUの「アキレス腱」になっていることが明らかになって以来、その問題に取り組んできた。GroqとCerebrasはずっと前から、シングルユーザートークン速度に関してはNVIDIAに打ち勝つことができたが、当時の市場では非GPUハードウェアの調達については関心が高くなかったため、両社はそれを実証するために独自のインフラを構築しなければならなかった。
NVIDIAがGroqを事実上買収するということは、NVIDIAがこのアキレス腱の存在を認めていることを示唆する。NVIDIAの計画の詳細については、同社のカンファレンス「GTC 2025」(米国カリフォルニア州サンノゼ、2026年3月16〜19日)」が開催されるのを待つしかない。しかし、業界のうわさによると、大規模言語モデル(LLM)推論ワークロードの一部のデコード部におけるボトルネックを回避するために、GroqのハードウェアIP(Intellectrual Property)を利用する可能性があるという。
NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は、2026年3月初めに行った業績発表の場で、「われわれは今後、Groqをアクセラレーターとして当社のアーキテクチャを拡張していく。これは、MellanoxとともにNVIDIAのアーキテクチャを拡張した時とほぼ同じ方法である」と述べている。
AI半導体のスタートアップが次々と資金を獲得
そして2つ目は、今回の取引の総額が200億米ドルと報じられていることで、高速推論アーキテクチャにドル価値が付加されたという点だ。このため現在、数多くのAIチップスタートアップのCEOやその投資家たちが、非常に喜んでいるだろう。
NVIDIAとGroqの取引きが発表されて以降、
- Cerebrasは、OpenAIとの間で100億米ドル規模の契約を獲得。また、シリーズHラウンドで10億米ドルの資金を調達し、資金調達後の企業価値は230億米ドルに達した。さらに、新規株式公開(IPO)の申請書類を再提出する準備を進めていると報じられている
- SambaNova Systems(以下、SambaNova)は、Intelによる16億米ドル規模の買収提案を拒否し、3億5000万米ドルのシリーズEラウンドの資金調達を選んだという
- Etchedは、5億米ドルの資金調達を行い、企業価値が50億米ドルに達したと発表している
- Neurophosは、シリーズAラウンドの資金調達で1億1000万米ドルを調達した
- ステルス状態だった英国のフォトニックAIチップのスタートアップOlixは、2億2000万米ドルを調達したと報じられた
そしてこれらは全て、過去わずか8週間で起こったことだ。
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