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ソニーセミコンCTOに聞く――イメージセンサー技術革新の核追求していく「3つの方向性」とは(1/3 ページ)

スマートフォン市場の成熟などで競争環境が変化する中、イメージセンサー世界首位のソニーセミコンダクタソリューションズは今、大きな転換点にある。今回、同社CTOの大池祐輔氏に同社を支える技術革新の背景と、今後の進化の方向性を聞いた。

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 イメージセンサーの金額ベースシェアで世界首位のソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)は今、大きな転換点にある。成長をけん引してきたスマートフォン市場の成熟をはじめ、市場構造や競争環境は大きく変化しつつあり、先行きの不透明感も増している。

 SSSはこれまで、CCD全盛期にCMOSイメージセンサーへの転換を決断し、さらに裏面照射型や積層型といった高難度技術を次々と実用化しながら市場を切り開いてきた。そうした技術革新は、同社の競争力の根幹を形作ってきたともいえる。今回、同社最高技術責任者(CTO)の大池祐輔氏に、これまでの技術革新の背景や、今後目指す技術進化の方向性について聞いた。

ソニーセミコンダクタソリューションズの最高技術責任者(CTO)である大池祐輔氏 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ
ソニーセミコンダクタソリューションズの最高技術責任者(CTO)である大池祐輔氏 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

CMOSイメージセンサーへの転換

――ソニーの技術の軌跡を振り返ると、CCDからCMOSへの転換が大きな分岐点でした。その背景にはどのような市場環境の変化と技術的な課題があったのでしょうか。

大池氏 CCDのピークは2007年頃だったが、2000年代に入った直後には裏面照射型CMOSイメージセンサーの開発は始まっていた。当時、半導体のイメージセンサーという意味ではCCDが全盛期だったが、その中で市場はハイビジョン化に向かい、高い解像度で動画を撮るニーズが徐々に生まれ始めていた。これが当時の市場環境であり、マーケットニーズだ。

 CCDはデバイス構造上、画素を小さくして感度を上げることには長けていた一方、消費電力を抑えつつフレームレートを上げるという点では適した技術ではなかった。当時は100万画素クラスだったが、その100万画素を一斉に駆動し、1画素ずつ順番に読み出していく「バケツリレー方式」では、拡大する動画ニーズに応えていくことが難しかった。これが最初のきっかけだった。

 CMOSイメージセンサーは、その課題に対する解決策になり得る技術だった。ただし当時は、画素を微細化し多画素化しながら高画質を実現できるか、という点に課題があった。トランジスタや配線が増えることで、1画素内で光を受ける領域が制約されるためだ。それぞれのドローバック(欠点)をどう克服するかが、最大のチャレンジだった。

 そこで裏面照射型イメージセンサーが、CCDからCMOSイメージセンサーへの転換を決定づける契機となった。

――CMOSへの転換という判断には、どの程度の確信があったのでしょうか。

大池氏 当時決断した人たちの確信度合いを私自身が完全に代弁することはできないが、「必ず必要になる」という確信はあったのだと思う。CCDではいずれ限界が来る、だから技術的イノベーションがなければ行き詰まる、という確信だ。

 その一方で、裏面照射が本当に量産レベルで実用化できるかについては社内でも半信半疑の声もあるなど、見解が分かれていた。実際、最初に出てきた試作品の画像は決して美しいものではなかった。そこから最終的に量産まで持っていった過程は、「必ず必要になる」という確信のもと、技術的な試行錯誤を繰り返した結果だ。

 CMOSイメージセンサーは、高フレームレートの動画撮影が可能となったことでカムコーダーに採用され始めた。その後、裏面照射の本格技術が進み、感度向上と多画素化を実現。さらに画素を小さくしても暗所で高画質に撮影できる技術が確立され、コンパクトデジタルカメラにも展開が広がっていった。

 そこからCCDからCMOSに完全に置き換わっていく流れになり、経営陣は2004年にCMOSへの転換を決めた。技術開発の重心も大きくシフトし、CCDの技術開発は終息し、エンジニアや開発リソースが完全にCMOSへシフトしていった。

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