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2027年のメモリ市場に潜む下振れリスク――WSTS春季半導体市場予測を読み解く大山聡の業界スコープ(101)(1/3 ページ)

WSTSは2026年の半導体市場成長率予測を前年比89.9%増へ大幅に上方修正した。市場拡大をけん引するのはAI需要を背景に急成長するメモリ市場だが、その伸びの多くは価格高騰によるものでもある。本稿ではWSTSの春季予測を基に、各市場の動向を整理しながら、2027年のメモリ市場に潜む下振れリスクを考察する。

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 WSTS(世界半導体統計)は2026年6月2日、2026年および2027年の半導体市場予測を発表した。2025年12月発表の前回予測では、2026年の成長率を前年比26.3%増と予測していたが、今回はこれを前年比89.9%増に大幅上方修正した。2026年4月までの半導体市況を見る限り、これまでの出荷実績は前年同期比87.1%増という驚異的な伸びで推移しており、上方修正は当然である。しかし2026年後半のメモリ市場の伸びをどう見るかでこの予測は大きく変わってくるだろう。翌2027年の2026年比26.6%増という予測についても同様である。筆者としては、今後のメモリ市場に対する見方を整理しながら、今後の見通しについて考えてみたいと思う。

ディスクリート/光半導体/センサー――非メモリ分野は堅調も成長鈍化の兆し

 ディスクリートは2026年を前年比8.9%増と予測している。前回予測では前年比8.2%増で、ここからは若干上方修正されている。2026年1〜4月までの実績を見ると前年同期比15.4%増であり、やや保守的な予測に見える。前年同月比では2026年4月まで2桁のプラス成長が続いているので、もう少し強気な見方もできそうだ。ただし、この分野で過半を占めるパワートランジスタ市場でIGBTやMOSFETの単価下落が続いている点が気になる。中国勢の台頭によって供給過剰が発生し、パワートランジスタの単価下落が加速する可能性は十分にありそうなので、この予測は妥当かもしれない。2027年は前年比7.6%増という予測だが、単価下落が加速すれば、もっと厳しい市況になることも考えられる。


世界半導体製品別市場予測[クリックで拡大]出所:WSTS[2026年春季半導体市場予測]

 光半導体の2026年市場規模は前年比2.7%増と予測している。前回予測では同5.7%増で、ここからは下方修正されている。2026年1〜4月までの実績を見ると前年同期比12.4%増であり、ここから悪化する予測となっている。この市場は2025年12月から4カ月連続で2桁のプラス成長が続き、突然2026年4月に1ケタ成長へと落ち込んだ。ちなみに光半導体市場は約半分がイメージセンサーで占められており、こちらも11カ月連続でプラス成長を維持していたが、2026年4月にマイナス成長となった。メモリの価格高騰によってスマホの生産が下振れていることを考えると、この下方修正は妥当と思われる。2027年の予測は前年比5.0%増となっているが、特に違和感はない。スマホ1台当たりのイメージセンサー搭載数量がどう変化するかによって見通しが大きく変わるので、その動向を見守る必要がある。

 センサーの2026年市場成長率は前年比3.0%増という予測。前回予測では同8.7%増で、ここからは下方修正されている。2026年1〜4月までの実績を見ると前年同期比2.8%増であり、このレベルで推移する予測となっている。センサー市場は2025年8月以降、前年比1桁のプラス成長が続いているが、それ以前は2桁成長が続いていたので、よく言えば落ち着いた、悪く言えばやや勢いを失った動きに見える。数量ベースでは安定した成長を続けているが、平均単価が下落傾向にあるため、伸び率が鈍化しているのが現状である。この傾向が続けば、2026年は5%未満の成長率にとどまる可能性が高く、この予想は妥当と言えよう。2027年は前年比6.9%増という予測だが、筆者としては特に違和感はない。

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