安価なシリコン上に縦型GaNデバイス作製へ、NIMS:AL-ILと呼ぶバッファ層を形成
物質・材料研究機構(NIMS)は、シリコン(Si)ウエハー上に窒化ガリウム(GaN)成膜を行うため、「アモルファスライク中間層(AL-IL)」と呼ぶバッファ層を形成する技術を開発した。安価なSiウエハー上に縦型GaNデバイスを作製するための基盤技術となる。
今後、実デバイスを用い動作実証や耐圧、オン抵抗などを評価
物質・材料研究機構(NIMS)は2026年6月、シリコン(Si)ウエハー上に窒化ガリウム(GaN)成膜を行うため、「アモルファスライク中間層(AL-IL)」と呼ぶバッファ層を形成する技術を開発したと発表した。安価なSiウエハー上に縦型GaNデバイスを作製するための基盤技術となる。
縦型GaNデバイスの製造にはこれまで、高価な単結晶GaN基板を用いてきたが、コストや生産性の点で課題もあった。そこで、Siウエハーを使用する案も出てきた。しかし、SiとGaNの間に形成されるバッファ層が高抵抗となり、縦方向に電流を流すことが難しいといわれてきた。
研究チームは今回、Siウエハー上にGaN薄膜をエピタキシャル成長させると同時に、GaN/Si界面で低抵抗な縦方向伝導を実現するために、新たなバッファ層の形成技術を開発した。具体的には、Siウエハー上に厚みが1nm未満の金属膜を形成。その後、急速加熱処理を行いスパッタリングでGaNの成膜を行う。これにより、SiとNを含む極薄のAL-ILが形成されるという。
この中間層が、SiとGaNの格子不整合を緩和し、GaNのエピタキシャル成長を可能にすることが分かった。スパッタGaN膜を下地層として有機金属気相堆積(MOCVD)法でGaNの成膜を行うと、品質の高いGaN膜が成長することを確認した。
GaN膜とSi基板の間に電極を形成して電流−電圧特性を評価した。この結果、縦方向に電流が流れ、理想的な電流特性を示すことが分かった。
左図はAL-IL形成技術によってエピタキシャル成長したGaN膜のイメージ。中図は試料の上下方向に電圧を印加した時の「電流−電圧」特性。右図はGaN膜のエピタキシャル成長の度合いを示すXDRφスキャン測定結果および、良好な結晶品質を示す室温フォトルミネッセンス測定の結果[クリックで拡大] 出所:NIMS
今後は、縦型GaN系LEDやパワーデバイス構造の実デバイスを試作し、動作実証や耐圧、オン抵抗、発光効率、信頼性などの評価を行う予定。大口径シリコンウエハーへの適用性なども検証し、産業応用に向けたプロセスの最適化に取り組む。
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