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インタビュー

ADI日本法人新代表が語る「追い風」 AI時代にアナログ半導体が担う役割アナログ・デバイセズ 代表取締役 齊藤秀明氏(2/3 ページ)

2026年1月1日付でアナログ・デバイセズの代表取締役に就任した齊藤秀明氏。AIが半導体市場をけん引する中、アナログ半導体を手掛けるメーカーとして、どう勝負していくのか。同氏に日本の事業戦略を聞いた。

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あらゆる面で追い風 「いいタイミングで着任」

――2026年1月1日に就任されました。

齊藤氏 非常にいいタイミングで着任したと思っている。フィジカルAIというトレンドが登場し、AI技術を活用する場所が、サイバー空間から物理世界(現実世界)へと移っていく。今はまさに、そのスタートが切られた時期だ。

 ADIは創立以来、約60年にわたり、フィジカルとデジタル間のデータ変換を手掛けてきた。物理からデジタル、デジタルから物理という循環が、われわれが最も社会貢献できる領域で、そこにAIが入ってきたので、ますます当社が強み発揮できることになる。

――日本国内でもコロナ禍以降、半導体に対する風向きは大きく変わりました。

齊藤氏 科学技術に優先的に投資し、日本経済を再活性させようという動きが政府でも本格化しつつあり、日本企業も、より成長を意識した分野に投資する傾向になっている。日本のメーカーは今まで以上に、新しい取り組みを積極的に行うのではないか。

 日本のメーカーの強みは、物理世界においてさまざまな制約がある中での、職人的な“すり合わせ”の技術だ。こうした技術を持つ企業と連携すれば、ADIがサポートできる分野は多いとみている。

 社会的な面では、医療をはじめさまざまな分野でデジタル化が進み、そこにフィジカルAIが実装されれば、さまざまな分野で効率化が進む。

 政策、経済、技術、社会という4つにおいて、追い風が吹く条件が整っているのが、今だと捉えている。あとはわれわれが、どれだけ野心的になれるかにかかっているのではないか。

――「野心的」! いいですね。

齊藤氏 業績目標というよりも、顧客のニーズや課題にきめ細かく対応していく、ということだ。

 フィジカルな世界でソリューションを開発するためには、エンドユースケースごとに異なる細かい課題を一つ一つ、しっかりと解決していく必要がある。ADIの米国本社でソリューションを考え、それを日本などのフィールド(現場)に落としていく、というモデルはもはや成立しない。

 それよりも、フィールドで顧客としっかり連携しながら、課題を解決できる技術と製品を、顧客やエンドユーザーと確認し合って作り出すことが重要だ。

 ADIの組織体制も、地域別で分けるようなものではなくなっている。日本法人は「日本の顧客に最も近いところにいる」存在であり、われわれの重要度はかなり高まっている。顧客とともに新しいソリューションを作っていくことが、野心であり、目標でもある。

――日本の顧客の課題としてはどんなものがありますか。

齊藤氏 さまざまな課題が、本当にたくさんある。

 工場でも、自動化ができているところは、ほんの一部にすぎない。人材不足を根本から解消するには、生産ラインで使用しているロボットや、生産設備そのものをさらにスマート化させる必要がある。現在の産業用ロボットは、教えられた作業を素早く繰り返すことは得意だが、周囲の環境に合わせてモーターやアクチュエーターを適切かつ自律的に動かすことは難しい。まさにフィジカルAIの分野だが、ここを実現できるかどうかが課題になる。

 ADIはソリューションの一例として、NVIDIAが2026年3月に開催した年次イベント「GTC 2026」で、ヒューマノイドハンドのデモを披露した。ロボットアームに取り付けたヒューマノイドハンドがケーブルを識別し、高精度にハンドリングしてネットワークソケットに接続するデモで、データセンターのケーブルのメンテナンス作業などを想定している。ADIはこうしたソリューションの提供を目指す。今話題のヒューマノイドロボットは、意外とこういう作業ができないからだ。

――よく分かる気がします。ヒューマノイドロボットのお話が出ましたが、ロボット向けではどのような製品を提供していきますか。

齊藤氏 ロボットは、これから(ADI製品の)採用が増えると見込んでいるアプリケーションだ。サブシステムやモジュールなど、顧客が機能ブロックとしてすぐに使えるようなソリューションの開発と提供に力を入れる。必要に応じてパートナーと組んで、組み込みモジュールやリファレンスデザインなど、さまざまな形態での提供を考えている。

――ADIはだいぶ前から、「コンポーネントの提供」から「ソリューションの提供」へと移行する方針を打ち出してきました。それをさらに加速させていくのでしょうか。

齊藤氏 メインストリームのビジネスとしてコンポーネント販売はもちろん、継続していく。一方で、イノベーションを加速させるためには、コンポーネントのみの提供ではスピード感が足りない。新たな社会課題が次々に出てくることに加え、フィジカルAIのような新しいテクノロジーの台頭と進歩も速いからだ。

 そうした状況では、エコシステムのパートナーと技術を持ち寄ってソリューションを作らなければ、社会が要求するスピードで課題を解決することが難しい。そのスピード感を実現するための“切り口”の一つとして、ソリューションを増やしていく。

 その意味で、日本のオペレーションは非常に重要だ。日本市場は技術志向もかなり強く、各種コンポーネントや材料を含め、非常に層の厚いエコシステムがある。日本が、ADIのグローバルのビジネスをけん引していくポジションになる可能性は大いにある。

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