ロームが見る「1ラック1MW時代」のAIサーバ Si/SiC/GaNは共存へ:アナログ半導体も重要に(1/3 ページ)
AIサーバの高性能化に伴い、消費電力が急増している。ロームは、次世代AIサーバでは電源の高電圧化が進み、シリコン(Si)/炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)など異なるパワーデバイスが1つのシステム内で使われる「共存」の時代になるとみる。
ロームは2026年7月28日、AIサーバ/データセンター市場の動向と電力課題をテーマにメディア向けセミナーを開催した。ロームと協業するデルタ電子がAIサーバの高電力化と電源システムの変化について説明したほか、ロームがそれに対応するパワー/アナログ半導体の技術や市場見通しを紹介した。
1MW化で電源アーキテクチャの見直しへ
昨今、生成AIの急速な普及によって、AIサーバの開発サイクルも大きく変化している。デルタ電子 社長の華健豪氏は「従来はパワーマネジメントシステムの開発開始から量産まで12〜16カ月程度を要していたが、AI関連ではその半分程度の期間での対応を求められている」と述べる。GPUなどのロードマップも短期間で更新されていて、電源システム側にも迅速な開発が要求されている。
もう1つ大きく変化しているのが消費電力だ。GPUの高性能化に伴って、AIサーバの電力密度は急速に上昇している。ロームは、現在は数kW〜10kW程度が主流の電源が、今後は高電力/高電圧化するとみている。次世代モデルでは小型化や高効率化に向けて炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)の採用が広がるほか、800V DCを用いる高電圧直流(HVDC)方式への移行が進むと予測する。
ロームは、既存サーバの消費電力が13kWであるのに対し、2027年以降の次世代AIサーバでは1000kW(1MW)に達するとみる。メインボード数も18トレイから72トレイに増えるとしている。
こうした高電力化に対応するには、電源アーキテクチャそのものの見直しが必要になる。現在は50Vパワーシェルフを中心とした構成が使われているが、将来は半導体変圧器(SST:Solid State Transformer)などを介して800V DCをサーバ側まで供給する構成が想定されている。ロームは、この変化によって電力変換の各段で使用するパワーデバイスも変わるとみる。
デルタ電子も、高電力化に伴って±400Vや800V DCを用いた電源構成が重要になると説明した。同社によると、従来の電源構成では電力変換効率が約87%なのに対して、±400Vまたは800V DCを活用する構成では約89%まで向上するという。さらにSSTを活用することで約3ポイントの改善を見込み、従来構成に比べて合計で約5ポイントの効率向上が期待できるとしている。
消費電力の増加に伴って発熱量も増えるので、冷却方式も従来の空冷から液冷へと変化していく。AIサーバの進化はGPUだけでなく、電源や冷却を含むデータセンター全体の構成を変えつつある。
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