推論領域への野心強めるNVIDIA 韓国新興と協議か:買収の可能性も(1/2 ページ)
NVIDIAが、韓国のスタートアップで推論用NPU(Neural Processing Unit)に強みを持つRebellionsと協議を行っているという。技術提携のみならず、出資や買収も視野に入れているとされる。
NVIDIAは、Groqとの異例の契約で非独占的な技術ライセンスを取得するとともに、同社のエンジニアリング人材の大半を獲得した後、推論シリコン市場でさらなる攻勢をかけていると報じられている。Bloombergによると、NVIDIAは韓国の推論スタートアップであるRebellionsと、技術提携、出資、さらには買収も視野に入れた初期段階の協議を行っているという。
Groqと同様、Rebellionsのチップはメモリ中心の推論に特化している。同社の演算チプレットは、メモリ集約的なデコード段階を処理するために大容量のオンチップSRAMを搭載し、プリフィル処理は別の場所で実行される。これは、NVIDIAが2025年後半に200億米ドルで買収したGroqのSRAMベースのLPUモデルと比較される。
しかし、Rebellionsのメモリ中心の推論は、それだけではない。同社はSamsung ElectronicsおよびSK hynixとカスタムの広帯域メモリ(HBM)の共同設計体制を構築し、他のファブレス専業企業にはマネできないメモリ供給上の構造的な優位性を確保している。つまり、これらのHBM供給パートナーシップにより、Rebellionsは戦略的な投資家との関係を持たない独立系AIチップベンダーには保証できないメモリ割り当てを確保できる。
さらに、韓国ソウルに拠点を置くこの推論スタートアップは、創業からわずか5年で量産体制に入った。同社の「ATOM」および「ATOM-Max」チップは、SK Telecomの韓国最大の商用AIサービスで稼働しており、通話要約など韓国特有のサービスを扱う独自のAIアシスタントを支えている。また、これらの推論チップは、サウジアラビアの主権AIインフラにも導入されている。
OpenAIやAnthropicなどのAIモデルのトレーニングに使用されるチップで圧倒的なシェアを誇るNVIDIAは、現在、推論分野への戦略的な転換を進めている最中だが、その方向性はまだ完全に定まっていない。さらに、Rebellionsとの提携が実現すれば、NVIDIAは、現在メモリ大手のSamsungとSK hynixが支配する韓国のAIバリューチェーンに、より深く組み込まれることになるだろう。
メモリ中心のアーキテクチャ
2020年のパンデミック中に設立されたRebellionsは、データセンターの推論ワークロード向けNPU(Neural Processing Unit)を専門としている。同社の第1世代推論シリコンである「ATOM」とその高性能版「ATOM-Max」は2023年に量産を開始し、Korea TelecomのNPU-as-a-serviceインフラを含む4件の導入実績を獲得している。
Rebellionsの第2世代推論プラットフォーム「REBEL-Quad」は、2025年8月にSamsung Foundryの4nmプロセスノードで発表された。UCIe-Advancedインターコネクトを使用して4つの演算チプレットを統合し、144GB(ギガバイト)のHBM3Eを搭載し、300Wの消費電力枠内で1POPSのFP16演算性能を実現する。同社のフラグシップ製品である「Rebel100 NPU」は、AI推論シナリオにおいて優れたエネルギー効率を実現する。
AI推論においてメモリ中心のアーキテクチャにすることは、効率の向上とコスト削減につながる。しかしRebellionsは、GroqやCerebrasと類似したSRAMを多用するアーキテクチャだけでなく、ソフトウェアに重点を置いている点でも、より包括的なシステム企業となっている。これは、他のAIシリコンサプライヤーがチップ上でAIをどのように実行するかを開発者に任せているのとは対照的である。
同社のシリコンは、オーケストレーター「Kubernetes」を基盤とするクラウドネイティブなスタック上に構築されている。このスタック環境はオープンソースで、PyTorchやHugging Face、vLLM推論エンジンなど、人気の高いAI開発者向けフレームワークのほとんどと連携している。フォークを行わないオープンソースソフトウェアを使用しているため、クラウド開発者は従来環境と同様の開発体験を得られる。
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![チップレットベースの設計は、レイテンシなどの性能を犠牲にすることなく、スケーラビリティを確保できるとする[クリックで拡大] 出所:Rebellions](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2609/15/mm260915_re02_w490.png)