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Huawei「タウスケーリング」用いたプロセッサが市場へ:「LogicFolding」適用(1/2 ページ)

Appleが同社初の折りたたみ式スマートフォン「iPhone Duo」を発表した一方で、Huaweiの三つ折りスマホ「Mate XT 2 Ultimate Design」が注目を集めている。Huaweiが2026年5月に提案した新法則「タウスケーリング」を適用した新型プロセッサが搭載されているからだ。

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Huawei最新スマホに搭載された新型プロセッサ

 Appleは2026年9月初め、同社初となる折りたたみ式スマートフォン「iPhone Duo」を発表し、他のメーカーが数年間をかけて開発に取り組んできたスマートフォン分野へ参入した。HuaweiやSamsung Electronicsなどのメーカーは既に、三つ折りモデルをはじめとする折りたたみ式デバイスを投入している。

 Huaweiの三つ折りスマートフォン「Mate XT 2 Ultimate Design」は、前世代品から受け継いだ大型ディスプレイや三つ折り構造だけでなく、新型プロセッサを搭載したことでも大きな注目を集めている。

Mate XT 2 Ultimate Design
Huawei「Mate XT 2 Ultimate Design」[クリックで拡大] 出所:Huawei

 同社はMate XT 2と合わせて、独自プロセッサ「Kirin 9050 Pro」も発表した。これは、以前の技術文書では「Kirin 2026」と呼ばれていた。このKirin 9050 Proは、同社の半導体部門担当プレジデントを務めるHe Tingbo氏が「2026 IEEE International Symposium on Circuits and Systems」(2026年5月24〜27日、中国 上海)において発表した、独自のスケーリング則「τ(タウ)スケーリング」を実装している。

Kirin 9050 Pro
「Kirin 9050 Pro」[クリックで拡大] 出所:Huawei

Huaweiの「LogicFolding」

 Huaweiは、極端紫外線(EUV)リソグラフィへのアクセスが制限される中で、「LogicFolding」と呼ばれる新しい3次元積層技術を開発した。この技術は、アクティブなシリコン層を相互に集積し、信号経路の短縮と、トランジスタ密度の向上を実現するという。

 Huaweiは、米国の輸出規制によってASMLのEUVリソグラフィ装置へのアクセスが制限されていることから、半導体性能/密度を向上させるための代替手法を模索してきた。

 ムーアの法則に基づく従来の半導体微細化では、トランジスタサイズを縮小することによってトランジスタ密度を高めてきた。しかし、高度なEUVリソグラフィ装置を利用できなければ、配線が細くなると抵抗や寄生容量が増加し、半導体性能は低下する。

 LogicFoldingは、半導体を通って伝送される信号の速度に注目することにより、タイミング制約の問題に対応する。この技術では、長い水平配線を短い垂直接続で置き換えることにより、積層されたシリコン層全体でデジタル回路やアナログ回路、メモリ回路の性能向上を実現する。Huaweiによると、このような垂直積層により、コア配線長を20%削減し、重要なタイミングパスを約70%も短縮することが可能だという。

(a)はKirinプラットフォームのイメージ図、(b)はインタフェース断面図の電子顕微鏡写真
(a)はKirinプラットフォームのイメージ図、(b)はインタフェース断面図の電子顕微鏡写真[クリックで拡大] 出所:Tingbo He “A time scaling theory for multi-layer electronic systems"

 また、この新しい設計は、発熱の課題にも対応する。水平配線によるデータ伝送は、半導体チップのエネルギー消費量全体の80%以上を占めるため、信号経路を短縮すると、エネルギー消費量を削減することができる。TrendForceとEE Times Chinaが報じたところによると、Huaweiの測定結果では、同程度の性能で、NPU(Neural Processing Unit)の消費電力量が66%減、GPU(Graphics Processing Unit)は58%減、CPUコアでは41%減を達成したという。またHuaweiは、動作電圧とクロック速度を上げるのではなく、下げることで、半導体チップの過熱を防いでいる。

 3Dアクティブ層の集積では、非常に困難な技術的/経済的課題が生じる。バルセロナスーパーコンピューティングセンター(BSC:Barcelona Supercomputing Center)のディレクターであるMateo Valero氏は、米国EE Timesの取材に応じ、「シリコン微細化が物理的限界に達しようとしていることから、トランジスタレベルのイノベーションだけでは不十分である。トランジスタは重要だが、今重要視されているのは、システム全体の挙動だ。成功するかどうかは、フルスタックでの協調動作(オーケストレーション)にかかっている。アプリケーションからトランジスタ、ソフトウェア、SoC(System on Chip)アーキテクチャ、メモリ配置に至るまでの全てを強調設計する必要がある。さもなければ、他の場所でボトルネックの問題に直面することになるだろう」と述べている。

 新型プロセッサを搭載した三つ折り式スマートフォン「Huawei Mate XT 2 Ultimate Design」の販売価格は、1万9999中国元(約2980米ドル)〜2万4999中国元(約3725米ドル)だ。2026年9月12日に販売を開始しており、今のところ中国市場の限定販売品となっている。

 この半導体チップは、9コアCPUを搭載し、メインコアは3.1GHz動作だ。またGPU「Maleoon 920」は、1秒当たり最大500万レイのハードウェアレイトレーシングをサポート可能で、NPU「Da Vinci」は、300億パラメータのMoE(Mixture of Experts)AIモデルをデバイス上で直接実行するという。

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