検索
特集

歩留まり改善は「LLMだけでは不十分」 米AI新興の挑戦:従来型AIと組み合わせて回答を検証(1/2 ページ)

米Emergence AIは、大規模言語モデル(LLM)とシンボリックAIを組み合わせた「ニューロフォーマルAI」をファブレス半導体メーカー向けに展開している。歩留まり異常の原因を分析し、ウエハー1枚当たりの良品チップ数を増やすことを目指す。先進パッケージングや半導体製造ファブへの展開も進めようとしている。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 米Emergence AIは、独自の「ニューロフォーマルAI」をファブレス半導体メーカーで実運用する取り組みを進めている。同社の顧客である垂直統合型デバイスメーカー(IDM)からは、製造ファブへの適用拡大も求められているという。

 同社は、半導体製造工程で生成されるデータの活用にも注力している。大量のウエハーに問題が波及する前に、製造プロセス劣化の初期兆候を検出することを目指す。

LLMと従来型AIの掛け合わせで歩留まり改善

 Emergence AIの共同創設者でエグゼクティブチェアマンを務めるSatya Nitta氏は、2026年9月17〜19日にインド・ニューデリーで開催された半導体産業の国際展示会「SEMICON India 2026」において、米EE Timesのインタビューに応じ、「半導体チップの生産速度をこれ以上高めることはできないが、AIを活用すれば、ウエハー1枚から得られる良品チップ数を確実に増やすことができる」と述べた。

Emergence AI 共同創設者 エグゼクティブチェアマン Satya Nitta氏
Emergence AI 共同創設者 エグゼクティブチェアマン Satya Nitta氏[クリックで拡大]

 Nitta氏は「半導体チップの需要が供給を上回り、どのファブもフル稼働で生産しているので、これ以上ウエハーの処理量を増やすことはできない。供給不足を緩和するためには、ウエハー1枚当たりの良品チップ数を増やすしかない。そのためにはデータ分析が必要だ」と述べる。

 Nitta氏によると、ニューロフォーマルAIは、大規模言語モデル(LLM)の創造性と、形式的なルールに基づく従来型AIであるシンボリックAIの厳密性を組み合わせたものだ。シンボリックAIは、ディープラーニングが登場する以前、AIの中心的なアプローチだったという。

 「アルゴリズムが提案し、シンボリックAIが検証する」という仕組みだ。LLMは確率的に回答を生成するので、同社は、ミッションクリティカルな問題においてエンジニアが信頼できる「正しさを証明可能な」回答を提供するAIの開発を目指している。

 Nitta氏のLinkedInの投稿によると、2026年8月ごろ、Emergence AIがIan Eslick氏をCEOに任命したのに伴い、Nitta氏はエグゼクティブチェアマン兼チーフサイエンティストに就任した。同氏は、自身が長期的な研究方針の策定、ニューロフォーマルAIの発展、主要なパートナーシップの強化を主導する一方、Eslick氏が商用化と事業規模の拡大に向けて同社を率いていくと説明した。

 Nitta氏の投稿によると、Eslick氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)からのスピンアウト企業Silicon Spiceを設立し、その後U.S. BankとSofiで主要な技術イニシアチブを主導したという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る