検索
連載

NVIDIAが描くAI市場の「次章」、日本の活路はどこか:大山聡の業界スコープ(105)(1/3 ページ)

生成AIの普及を背景に、世界の半導体市場が急成長している。NVIDIAはAIインフラに続き、フィジカルAI市場への展開を加速させている。AIブームは今後どこまで続くのか。NVIDIAが描くAI戦略を読み解きながら、日本の半導体産業が取るべき道を考察する。

Share
Tweet
LINE
Hatena
連載アイコン
>>>連載一覧はアイコンをクリック<<<

 世界半導体市場統計(WSTS)によると、2026年8月の世界半導体市場は前年比156.3%増という驚異的な伸びを記録した。メモリ市場に限定すれば同412.2%増、1年前の5倍超という水準に達している。メモリ市場の成長率は、出荷数量の伸びよりも、DRAMやNAND型フラッシュメモリの単価が1年前の4倍前後に跳ね上がっていることが最大の要因だ。

 この状態がいつまで続くのか。AIブームはこの状態のまま推移するのか。前例のない市況に半導体業界人は先の見通しについて頭を悩ませ続けている。筆者としても断言できることはないものの、いくつかの可能性についてここで整理してみたいと思う。

投資先行を認めているハイパースケーラー各社

 昨今の半導体需要のけん引役がデータセンターであることは周知の通りであり、特にハイパースケーラー各社のAI投資が非常に熱を帯びている。彼らの投資があまりに過熱しているのではないか。そして、それが原因でDRAMとNANDフラッシュの単価が異常なレベルにまで高騰しているのではないか。こうした懸念はすでに株式市場で話題になっており、AI関連株の上昇を抑える動きになっていることは、2カ月前の本連載でも触れた通りである。

 ここでハイパースケーラー各社のコメントをまとめてみると、AI投資が短期的には収益を上回る負担になっていることを認めているものの、若干の「格差」も生じているようである。最も収益化が進んでいるように見えるのはGoogle。中間的なコメントがAmazonとMicrosoft。収益化が相対的に遅れて見えるのがMeta、といったところか。いずれもAI投資を手控えるような動きはまだ見えないが、1年後に各社がどのようなコメントをしているだろうか。注目しておきたい。

「AI投資はまだ序章」と言い切るNVIDIA CEO

 NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は、データセンターを「AIファクトリー」と位置付けていて、「AIファクトリーは新しい産業革命の中心。世界中の企業が自社のAIファクトリーを持つようになる」とコメントしている。つまり現時点ではAIファクトリーはハイパースケーラー中心の動きになっているが、今後は金融/製造/自動車/医療など一般企業による投資が拡大し、さらには政府、都市、国家による投資へと広がっていく、という見方である。

 Huang氏は、AIファクトリー向けの投資を「第1章」、自動車やロボットなどのフィジカルAI向けの投資を「第2章」としており、「世界中の電子機器がAIエージェント化する」「フィジカルAIはクラウドAIより市場が大きい」という期待を寄せている。このような考え方なら、ハイパースケーラーたちがAIのインフラを形成し、それが各企業へと広がるのが第1章で、第2章のフィジカルAIはより大きな市場が形成されるわけだから、確かに現段階のAI投資は「まだ序章」ということになるのだろう。今回のAIブームの「火付け役」のコメントだけに、説得力はありそうだ。

 ちなみにHuang氏がいう「世界中の電子機器がAIエージェント化する」とは、機器が「理解すること」(カメラやセンサーで環境を理解し、物体/認識、状況判断を行う)、「推論すること」(LLM(大規模言語モデル)/VLM(視覚言語モデル)で状況を解釈し、目的に応じて行動計画を生成する)、「行動すること」(モーター・アクチュエーターを制御し、実世界でタスクを遂行する)、「協調すること」(他の機械・クラウドAIと通信し、自律的にタスクを分担する)を意味している。自動車やロボットにこれだけの機能が備わるようになる、ということである。対象になる機器の台数を考えれば、これは極めて巨大なAI市場であり、半導体需要にも非常に大きなインパクトを与えてくれえるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る