800Vを一気に6Vへ、ルネサスが開発するAIサーバ用20kW級電源:主要メーカーにサンプル提供中(1/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスが、AIデータセンター向けに800Vの直流電圧を6Vに直接変換する20kW級の電源システムを開発している。同社はEE Times Japanに対し、800V→6Vプラットフォームを主要なAIデータセンター向けメーカー(OEMおよびODM)に既にサンプル提供していることを明らかにした。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)が、AIデータセンター向けに800Vの直流電圧を6Vに直接変換する20kW級の電源システムを開発している。同社はEE Times Japanに対し、800V→6Vプラットフォームを主要なAIデータセンター向けメーカー(OEMおよびODM)に既にサンプル提供していることを明らかにした。現在ルネサスは、同プラットフォームを用いて、電源アーキテクチャの実証と基盤技術の検証を進めているという。
ルネサスは2026年10月に米国サンノゼで開催された「OCP Global Summit 2026」において、NVIDIAのエコシステムパートナーとして、パートナー企業展示エリア「AI Factory MGX Wall」に試作ハードウェアを展示していた。会場では800Vをそれぞれ50V、12V、6Vに降圧する3種類のDCXコンバーターのほか、800V対応ホットスワップソリューションを披露した。
800Vから6Vへ直接変換、電力変換段数を削減
AIデータセンターでは、GPUなどの演算処理能力の向上に伴い、サーバラック当たりの消費電力が増大している。こうした電力需要に対応するため、従来の48V配電に代わり、800Vの高電圧直流配電を導入する動きが進んでいる。配電電圧を高めることで、同じ電力を供給する際の電流を抑え、配電経路で生じる損失を低減できる。
一方、GPUなどの半導体デバイスは低電圧かつ大電流で動作するため、800Vの配電電圧を演算デバイスの近くで降圧する必要がある。ルネサスが開発するシステムは、800Vから6Vへの直接変換によって、48Vや12Vなどの中間電圧を経由する電力変換段を削減するものだ。電力変換回路を演算デバイスに近い位置に配置することで、電力供給システム全体の高効率化と小型化を目指す。
なお、6Vの出力は後段の多相DC-DCコンバーターによってGPUなどの動作電圧まで降圧する。
ルネサスは2026年10月、800V→6Vプラットフォームの回路構成や設計手法、損失解析などをまとめたホワイトペーパー「Direct 800V-to-6V Conversion for AI Compute Infrastructure」を公開した。650V耐圧の窒化ガリウム(GaN)パワーデバイスと共振型LLCコンバーターを組み合わせ、20kW出力時に96%超の変換効率を目指す。ホワイトペーパーでは、各部品の電力損失を基に算出した変換効率の予測値として約96.3%を示している。なお実機による評価は現在も進めており、ルネサスは「最適化した評価データについては、準備が整い次第公開する」としている。
システムは、変換比128:1のLLC DCX(Direct Current Transformer:直流トランス)方式を採用し、5kW出力のフルブリッジ型コンバーターを4基組み合わせた構成だ。5kWコンバーター2基を並列接続した10kWのコンバーター群を2組設け、入力側を直列、出力側を並列に接続する。各5kWコンバーターには約400Vが入力される構成で、650V耐圧のGaNパワーデバイスを使用する。磁気部品にはプレーナ構造のマトリックストランスを採用した。ホワイトペーパーによると、電力変換部の寸法は約400×60×6.5mm(水平出力バスバーを除く)となっている。
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