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生成AIは前工程装置市場をどう変えた? ――各装置の明暗と「After AI」の行方:湯之上隆のナノフォーカス(96)(4/5 ページ)

生成AIは半導体市場を大きく変えている。半導体製造装置市場も例外ではない。本稿では、13種類の前工程装置市場の推移を振り返りながら、生成AIの登場による同市場の変化と、今後(After AI)の行く末を予想したい。

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半導体市場と装置市場の乖離

 最後に、半導体市場全体と製造装置市場全体の関係を見ておきたい。図9は、WSTSとSEMIのデータを基に、1990年から2028年までの世界半導体市場と製造装置市場を示したグラフである(なお、2026年以降は予測値である)。

図9 世界半導体市場と製造装置市場(2026年以降は予測値)
図9 世界半導体市場と製造装置市場(2026年以降は予測値)[クリックで拡大] 出所:WSTS、SEMIのデータおよび予測値を基に筆者作成

 WSTSの2026年春季予測では、2026年の世界の半導体市場は前年比89.9%増の1兆5,112億米ドルに達する見込みだ。その原動力はメモリが前年比249.5%増(約3.5 倍)という異常な伸びにある。一方、SEMIの2026年央予測では、2026年の半導体製造装置の世界の売上高は、前年比23.2%増となる過去最高の1,659億米ドルとされている。

 図10は、左軸(半導体市場)と右軸(装置市場)の目盛りを10対1にして、図9を描き直したグラフである。こうすると、2本の線が重なったとき、装置市場が半導体市場のちょうど10%であることを意味する。1990年代以降、リーマン・ショック直後の2009年を除いて、装置市場の線は常に半導体市場の線より上にあった。つまり装置市場は、半導体市場の10%を超える水準で推移してきた。ITバブルの2000年には約22%、2025年でも約17%あった。ところが2026年以降、2本の線はほぼ重なり、装置市場は半導体市場の1割程度まで下がる見通しである。

図10 世界半導体市場と製造装置市場(2026年以降は予測値)
図10 世界半導体市場と製造装置市場(2026年以降は予測値)[クリックで拡大] 出所:WSTS、SEMIのデータおよび予測値を基に筆者作成

 図11は、2000年を「1」と規格化して両市場を比較したグラフである。2025年までは、半導体市場が約3.9倍、装置市場が3.0倍と、大きな差はなかった。しかし予測値では、2026年に半導体市場が8.1倍、装置市場が3.7倍となり、2027年には半導体市場が9.4倍、装置市場が4.5倍と、差が急速に広がる。

図11 2000年で規格化した世界半導体市場と装置市場
図11 2000年で規格化した世界半導体市場と装置市場[クリックで拡大] 出所:WSTS、SEMIのデータおよび予測値を基に筆者作成

 2022年を基準にした図12で見ても、2025年の時点では半導体市場1.4倍、装置市場1.3倍とほぼ同じペースだった。それが2027年には、半導体市場の3.3倍に対して装置市場は1.9倍と、大きな差が生じる。

図12 2022年で規格化した世界半導体市場と装置市場
図12 2022年で規格化した世界半導体市場と装置市場(Before AIとAfter AI)[クリックで拡大] 出所:WSTS、SEMIのデータおよび予測値を基に筆者作成

半導体と装置市場の乖離は何を意味するのか

 この乖離をどう解釈すべきだろうか。装置市場は、ウエハーの生産能力に対する投資、つまり物理的な「量」をおおむね反映している。これに対して半導体市場は「量×価格」である。2026年の半導体市場の爆発は、生産量が増えたというより、主にメモリに代表される価格の高騰によるものだ。従って、半導体市場と装置市場の乖離は、価格の高騰による「バブル」と見ることができる。

 この乖離が解消される道筋は二つ考えられる。一つは、メモリメーカーが享受している空前の利益を生産能力の増強に回し、装置市場が半導体市場に追い付くシナリオである。もう一つは、メモリ価格が暴落し、半導体市場が装置市場に見合う水準まで縮むシナリオだ。

 筆者は、2018年のメモリバブルが2019年に崩壊したことを思い出さずにはいられない。メモリ各社が生産能力を増やせば、いずれ供給過剰になって価格は下がる。どちらのシナリオになっても、現在の乖離がそのまま続くとは考えにくい。

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