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新日本無線がSiC材料を用いたパワー半導体投入、生産技術の改善で部品価格を抑えるパワー半導体 SiCデバイス

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 新日本無線は、SiC(炭化ケイ素)材料を使ったショットキー・バリア・ダイオード(SBD)を開発し、2010年4月にサンプル出荷を開始する。最大定格は、直流逆方向電圧が600V、平均整流電流が10A、接合部温度が150℃である。「国内企業では、SiC材料のSBDの製品化は初」(同社)という。

 SiCは一般に、パワー半導体に向く材料とされているが、製造コストが掛かるという問題があった。同社は、新たな生産技術を開発したことで、製造コストを抑え、部品コストを削減できる見通しをつけたとする。

 SiC材料のパワー半導体は、Si(シリコン)材料のものに比べて、耐圧や熱伝導度が高いといった特長がある。同じ耐圧の場合で比較すると、Si材料に比べてオン抵抗を低減できる。しかしこれまでは、SiC材料のSBDを製造するには1800℃程度と高温の熱処理工程があり、専用の製造装置が必要という問題点があった。

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 一般に、パワー用途のSBDでは、耐圧を高めるために、ショットキー接合部の電界集中を緩和する「ガードリング層」を形成する。ガードリング層は、不純物を注入し、高温熱処理で不純物を活性化させることで形成する。従来、このガードリング層を形成するために、1800度程度と高温の熱処理が必要だった。SiCウエハーそのものの価格がSiウエハーに比べて高いことに加えて、新たな製造装置を導入する必要があったため、「SiC材料SBDの価格は、Si材料のSBDに比べて10倍以上と高かった」(同社)という。

 同社が開発した生産技術を利用すれば、熱処理時の温度が1050℃程度と低い場合でも、ガードリング層が形成でき、実用に耐える特性が得られると主張する。リーク電流(逆方向電流)は、外資系半導体ベンダーの600V耐圧の品種と同程度だという。1050℃程度の熱処理であれば、既存の製造装置を利用できる。「当社が所有する4インチ・ウエハーの製造ラインで、少量生産の要望にも対応可能だ」(同社)という。

 同社では、SiC材料といったワイドギャップ半導体に関する開発部を2009年4月に新たに編成した。すでに生産体制も整ったとする。2010年10月に量産出荷を開始する予定である。なお、価格は明らかにしていない。

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