Numonyx、相変化メモリーの新製品2製品を発表:メモリ/ストレージ技術
90nm製造技術を適用し、記録容量は128Mビット。既存のNOR型フラッシュ・メモリーと比べて、書き込み時間は300倍以上速く、書き換え回数は10倍以上多いという。
不揮発メモリー大手のスイスNumonyx(ニューモニクス)社は、NOR型フラッシュ・メモリーとの互換性を備えた相変化メモリー(PRAM、同社はPCMと呼ぶ)の新製品「Omneo P5Q PCM」と「Omneo P8P PCM」(図1)を発表した。
両製品とも90nm製造技術を適用し、記録容量は128Mビット。既存のNOR型フラッシュ・メモリーと比べて、書き込み時間は300倍以上速く、書き換え回数は10倍以上多いという。
Omneoシリーズは、NOR型フラッシュ・メモリーとの完全な互換性を備え、NOR型フラッシュ・メモリーと同様、バイト単位での読み書きができる。さらに、データを消去することなく上書きできるという。また、書き換え回数をNOR型フラッシュ・メモリーの10倍に高め、100万回の書き換えサイクルを実現している。
図1 スイスNumonyx社が発表した相変化メモリー「Omneo」シリーズ
左側が「Omneo P8P PCM」で、右側が「Omneo P5Q PCM」。P8P PCMは、Numonyx社が2008年にサンプル出荷を開始した128Mビットの相変化メモリー「Alverstone(開発コード名)」の改良版。
バイト単位で読み書きできるため、NAND型フラッシュ・メモリーのように大規模なデータ・ブロックの消去が必要ない。このため、データの操作が容易になり、ソフトウエア・プログラムを簡素化できる。データを消去することなく上書き可能であるため、ソフトウエア開発者は、ソフトウエア設計を簡素化して機器の性能を向上できる。加えて、ソフトウエア開発にかかる時間を1/300にまで短縮できるという。
Numonyx社の相変化メモリー担当ビジネス・ディベロップメント・マネジャーを務めるCliff Smith氏は、「Omneo P8P PCMの読み出し性能は、NOR型フラッシュ・メモリーとほぼ同じレベルだが、バースト転送の機能を持っている。Omneo P5Q PCMは、最大で66MHzで動作する」と述べている。
機器が内蔵する複数のメモリーを1種類のメモリーに統合
このように容量が比較的小さな不揮発メモリーの採用を促す要因として、部品点数を削減できるという点が挙がる。Numonyx社のエンベデッド・ビジネス・グループ担当バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネジャーを務めるGlen Hawk氏は、「現在は、コードの保存や実行、データの保存のためにそれぞれ別の種類のメモリーを用意する必要があった。しかしOmneo PCMを使えば、ほかの種類のメモリーを用意する必要はない」と述べている。
Numonyx社は、12MビットのOmneoを1個使ったセットトップ・ボックスの例を紹介し、1個のメモリーで128MビットのNOR型フラッシュ・メモリーと1MビットのEEPROM数個を置き換えることに成功していると説明した。また、別の例ではOmneo P8P PCM1つで、電気通信やスマート・メーターで使うNOR型フラッシュ・メモリーと電池で駆動させるSRAMを置き換えた。
ただし、相変化メモリーは高温に弱いため、産業用電子機器の動作温度範囲に対応できないと言われている。また、はんだ付けが必要な場合は、事前にプログラムを書き込んでおくことができない。
Numonyx社は、民生機器から産業用電子機器に至るまで、幅広い市場に向けてOmneoを売り込む。さらに同社は、携帯型機器での使用に向けて、DDRインターフェースを備えた相変化メモリーの開発にも取り組んでいるという。加えてSmith氏は、将来のOmneoシリーズが、45nm製造技術を適用したものになると述べた。
Numonyx社が今回発表したOmneoシリーズ2製品はどちらも量産出荷中だ。Omneo P5Q PCMは、周辺機器との接続インターフェースとしてシリアル・インターフェースを用いる。もう一方のOmneo P8P PCMは、16本のパラレル・インターフェースを備える。
Omneo P8P PCMは56端子のTSOPパッケージ、あるいは64端子のBGAパッケージに封止して提供する。Omneo P5Q PCMは、16端子のSOICパッケージのみを用意した。
Numonyx社は価格についてはコメントを避けた。
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