フランスのMRAM開発メーカー、 NXPの特許ポートフォリオを買収:ビジネスニュース 特許/知財
MRAMなどの磁性半導体の開発を手掛けるCrocus Technologyが、NXP SemiconductorsのMRAM関連の特許ポートフォリオを取得した。買収金額などは明らかにしていない。
汎用および特殊用途向けに磁性半導体の製品を開発を手掛けるフランスのCrocus Technologyは2011年8月、NXP SemiconductorsのMRAM関連の特許ポートフォリオを買収すると発表した。
Crocusは、今回の特許ポートフォリオ買収により、北米、ヨーロッパ、アジアにおいて知的所有権(IPR:Intellectual Property Right)を得ることになるとしているが、具体的な買収金額については明らかにしなかった。
CrocusでCEO(最高経営責任者)を務めるBertrand Cambou氏は、報道発表資料の中で、「強力な特許ポートフォリオを備えることは、競争の激しい市場で堅調な成長を続ける上で必要不可欠である。当社はこれまで、業界トップレベルの特許を保有できるよう、さまざまな取り組みを行ってきた」と述べている。
今回の特許買収により、Crocusは、申請中のものも含めて100以上の特許を得ることになる。これらの中には、磁性半導体の材料、デバイス、設計、製品技術などが含まれている。
なお、今回の買収以前にCrocusが取得している特許は、そのほとんどが、同社のエンジニアや科学者が開発した製品/技術か、フランス グルノーブルの研究施設Spintecとの技術提携によって得たものである。
Crocusは2011年5月に、ロシア政府が運営するナノテクノロジー技術への投資機関「Rusnano」と、共同研究プロジェクトを発足することに合意したと発表した。資金3億米ドル規模のこのプロジェクトには、MRAM製造施設をロシアに建設するという計画も含まれている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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