2012年度末までに500品種超を投入、富士通セミコンがARMマイコン強化を鮮明に:プロセッサ/マイコン ARMマイコン
富士通セミコンダクターは、2011年9月6日にマイコン事業の方針説明会を開催し、ARMコアを採用した汎用マイコンの品種強化を続ける姿勢をアピールした。
2011年度末までには200品種、さらに2012年度末までには合計500品種以上の製品ラインアップをそろえる――。富士通セミコンダクターは、2011年9月6日にマイコン事業の方針説明会を開催し、ARMコアを採用した汎用マイコンの品種強化を続ける姿勢をアピールした。
同社は2010年11月に、ARMのプロセッサコア「Cortex-M3」を採用した32ビット汎用マイコン製品群「FM3ファミリ」を発表し、第1弾として合計44製品を投入した(関連記事)。その後、2011年4月には第2弾として52品種を、2011年9月6日には第3弾として64品種を発表し、継続的に品種を増やしてきた(関連記事1、関連記事2)。
今後も拡充を続け、既に発表済みの合計160品種のARMマイコン製品群に、2012年度末までに新たに340品種を追加する。説明会を通して同社が示したのは、ARMマイコンを同社の汎用マイコンの中心軸として展開するという姿勢だった。
現在のところ、同社の汎用マイコンの売上高に大きく貢献しているのは、同社の独自コアを採用した品種である。事実、2011年における同社の汎用マイコン全体に占めるARMマイコンの受注数量の割合は10〜15%にとどまるという。これを、2012〜2013年には40%へ、2015年には50%超に高めることを目指す。
市場シェアについても、高い目標を設定している。ある市場調査会社のリポートによると、日本国内のマイコン市場において車載マイコンも含む同社の市場シェアは、2010年度に13.4%で、第2位に位置する。この市場シェアを2015年までに40〜50%に高めることを目指す。
市場シェアを拡大する2つの視点
ただ、汎用マイコン市場全体を見るとライバルは多く、それぞれに特徴を打ち出したARMマイコンを製品化している。この市場でいかに勝負していくか……。富士通セミコンダクターの戦略は明確だ。
同社の言葉を借りるなら、「全方位のアプリケーションを対象に品種を展開する」、そして「グローバルCPUコアであるCortex-M3を採用しつつ、独自の周辺回路や差異化技術で差別化を図る」というものだ。
同社は、FM3ファミリを4つのカテゴリに分けた。すなわち、「ハイパフォーマンスグループ」と「ベーシックグループ」、「ローパワーグループ」、「ウルトラローリークグループ」だ。この4つのカテゴリで、高速処理を要求される用途や、コストパフォーマンスが求められる用途、低消費電力が求められる用途、電池駆動の電子機器と幅広い市場に対応していく考えである。「既存の32ビットや16ビットのみならず、8ビットの汎用マイコンの置き換えを狙える、コストパフォーマンスの高い品種を用意する」(同社)。
2011年9月6日に発表した同社第3弾目となるARMマイコンの意義は、この「全方位のアプリケーションを対象にする」という戦略の観点で重要なものだ(関連記事)。
まず、これまで欠けていた高性能品を本格的に投入したという点。具体的には、動作周波数を144MHzに高めた54品種を製品化した。144MHzという数値は、ハイパフォーマンスグループとして製品化していた既存品の1.8倍に相当する。そして、8ビットマイコンの置き換えを狙える、ウルトラローリークグループの品種を初めて投入したことである。
今後は、4つのカテゴリそれぞれについて、周辺回路が異なる品種を増やす。冒頭の2012年度末までに500品種以上を展開するという目標について、同社は「ARMマイコンのベンダーとしては後発だが、2年間で500品種をそろえるというインパクトは大きいはずだ」とコメントした。500〜600品種の製品ラインアップがあれば、想定される顧客の幅広い要求にほぼ応じられるという。その考えから、500品種が品種拡充の取り組みが一段落というひとつの目安になると説明した。
2012年度末までに500品種以上をそろえた後は、特定のアプリケーションに焦点を当てた品種を製品化することや、Cortex-M3以外のARMコアを採用した汎用マイコンを投入することを検討している。
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