TDKが有機ELディスプレイ事業から撤退へ、製造/販売子会社を双葉電子工業に売却:ビジネスニュース 事業買収
蛍光表示管大手の双葉電子工業は、TDKの有機ELディスプレイ製造/販売子会社の買収を発表した。双葉電子工業は、今回の買収により車載向け有機ELディスプレイの展開を加速させたい考え。一方、TDKは有機ELディスプレイ事業から撤退することとなる。
双葉電子工業は2011年9月28日、TDKの有機ELディスプレイ製造/販売子会社であるTDKマイクロディバイス(茨城県北茨城市)を買収すると発表した。譲渡予定日は2012年4月1日。買収金額は公開していない。
TDKと双葉電子工業は2009年8月、有機ELディスプレイ事業に関する業務提携を発表している。このときに、双葉電子工業は、当時TDKの100%子会社だったTDKマイクロディバイスに対して同社資本金の25%を出資していた。
今回の買収では、TDKが双葉電子工業との業務提携を解消した上で、TDKが所有するTDKマイクロディバイスの資本金の75%に当たる株式を双葉電子工業に売却することになる。なお、TDKマイクロディバイスの従業員は、譲渡後もそのまま同社に所属し、有機ELディスプレイの製造/販売業務に携わることになる予定だ。
双葉電子工業は、業務提携時に行ってきた、同社が蛍光表示管(VFD)事業で培った薄膜加工技術やIC開発技術と、TDKマイクロディバイスの有機ELディスプレイ技術の融合について、今回の買収によりさらに加速させる方針。特に、高輝度/広視野角による視認性の良さ、高速の応答速度、薄型軽量かつ低消費電力といった有機ELディスプレイの特徴を生かして、車載向けの展開に注力する計画だ。一方、TDKは、TDKマイクロディバイスの売却により有機ELディスプレイ事業から撤退することとなる。
TDKマイクロディバイスの2011年3月期の売上高は前年度比62.1%増の35億9300万円。損益面では、2009年3月期はわずかに黒字を計上していたものの、2010年3月期の営業損失が3億2900万円、2011年3月期の営業損失が5億2600万円と赤字が続いていた。
TDKは、1995年に、世界初となるTFT(薄膜フィルムトランジスタ)を用いたアクティブ駆動型のフルカラー有機ELディスプレイを半導体エネルギー研究所と共同で開発して以降、有機ELディスプレイ事業に注力してきた。2011年5月には、世界初の透けるカラー有機ELディスプレイの量産を開始したと発表していた。
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