「2015年にはARMプロセッサの出荷数が世界人口の2倍に」、英調査会社が予測:ビジネスニュース
ARMベースのプロセッサの出荷数は、今後も大幅に増加するという。ターゲットとする市場は、デジタルホームから車載機器、産業機器、医療機器まで多岐にわたる。
英国の市場調査会社であるSemicast Researchは、「2015年には、世界中のすべての人が、ARMベースのプロセッサ(ARMプロセッサ)を搭載した機器を1人2台ずつ所有する計算になる」という予測を発表した。国連(UN)の人口予測データによれば、世界の人口は、2000年の61億人から2016年には76億人に増加するという。この期間に出荷されるARM搭載機器の台数は、総計で950億台に上ると予想される。
Semicast Researchの主席アナリストであり、同報告書の作成者であるColin Barnden氏は、「実際に使用されている機器に搭載されたARMプロセッサの数は、2000年は4億個だったが、2016年には170億個に達する」と予測している。
同社は、ARMプロセッサの年間出荷数が2011年に70億個を上回ると予想する。さらに、2015年には約150億個に達する見通しで、1人当たり2個のARMコアを所有する計算になるという。
報告書では、「2012〜2013年ごろまでは、ARMの主要プラットフォームはスマートフォンのままだろう」との予想を示している。一方、今後の成長市長としては、「家電やモバイル機器をネットワークでつなぎ、家庭内のどこででも動画や音楽を楽しめるようにする」デジタルホーム分野を挙げている。電子書籍リーダー端末やメディアタブレット、ネットブック、ゲーム機、ホームネットワーク機器などに、かなりの数のARMプロセッサが搭載されると見込んでいる。
Freescale SemiconductorやNVIDIA、Samsung Electronics、Texas Instruments、Mediatek、Qualcomm、NXP Semiconductors、STMicroelectronics、東芝といった多くのARMライセンシー(ライセンス利用者)は、当然ながら、こうした用途で数多くの製品を展開するとみられる。この他、産業機器や医療機器もARMアーキテクチャの成長市場として位置付けられており、スマートカードやスマートメーター、スマートグリッド、ネットワークに対応したフィールド機器、モーター制御システム、セキュリティ機器、火災報知機、民生用医療機器、EFT(Electronic Funds Transfer)端末、CCTV(Closed-Circuit Television)/ビデオ監視システムなど、さまざまな用途で大きな成長が予想されるという。
また、ストレージ市場でも、HDDやSSD(Solid State Disk)を中心に、ARMアーキテクチャの大幅な成長が見込まれる。さらに、ARMは車載用途でも急速に市場シェアを拡大しており、内蔵アプリケーションだけでなく、エンターテインメントやナビゲーションシステムに向けた出荷も増えるとみられる。
Semicast Researchは、「2011年に出荷されるARMベースの組み込みプロセッサは、総額で320億米ドルに上る」と予測する。これには、マイコンや組み込みプロセッサ、ASIC、ASSP、FPGAが含まれる。現在、ARMベースの組み込みプロセッサのサプライヤの中では、Qualcommが、Samsung SemiconductorやTexas Instrumentsを凌ぐトップサプライヤとなっている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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