IntelのMeeGo撤退で、車載情報システム向けOSはTizenへ移行か:ビジネスニュース
IntelがMeeGoから手を引いたことは、車載分野にも影響を与えているようだ。車載情報機器のプラットフォーム開発を推進するGENIVIは、OSをMeeGoからTizenに移行するとしている。
Intelは2011年9月末に、Linuxベースのモバイル機器向けOS「MeeGo」の開発から撤退することを表明した。これにより、カーエレクトロニクス関連の設計を手掛ける3社のプロジェクトに影響が出ている。
Intelが撤退を発表したとき、MeeGoをベースとした車載インフォテインメント(IVI:In-Vehicle Infotainment)システムを開発しているメーカーが、少なくとも2社あった。また、3社目のVisteonは、ARMやIntelのプロセッサを採用したMeeGo/Ubuntuで動作するシステムの開発に取り組んでいた。
これら3社が手掛けていたプロジェクトは、いずれもGENIVIが規定したミドルウェアの仕様をベースとしている。GENIVIは車載情報機器のプラットフォーム開発を目的とするアライアンスで、約10社の自動車メーカーを含む、150社ほどの企業が参加している。GENIVIは、LinuxコアサービスとAPI(Application Program Interface)についても仕様を定めており、MeeGoは、この仕様に準拠した6つのOSの1つとして認定されている。
Intelは現在、Samsung Electronicsと共同で、Linuxベースの新しいモバイル向けOSである「Tizen」の開発に取り組んでいる。TizenのWebサイトによると、2012年初めにはTizenをリリースできる予定だという。
GENIVIが2009年に設立されて以来、理事会メンバーとして主事を務めるKyle Walworth氏は、「GENIVIにとって、MeeGoからTizenへの移行は、多少は不都合な面もあるものの、それほど驚くようなことではない」と述べる。
同氏は、「GENIVIメンバーのうち少なくとも2社がMeeGoプロジェクトを手掛けていた。だが、そのプロジェクトは極めて順調に進んでいたものの、完成が近かったわけではない」とも語っている。
また、Visteonの電子アーキテクチャ担当シニアマネージャも兼任しているWalworth氏は、同社のIVI製品について、「MeeGoやTizenに依存しない、優れた柔軟性を備える」と説明し、「VisteonのIVI製品で使用する予定のソフトウェアパッケージは、OSの移行による影響をほとんど受けないだろう」と述べた。
Intelは、MeeGoから撤退する理由の1つとして、TizenがHTML5をサポートする予定であることを挙げている。HTML5は、モバイルアプリケーションの開発にも使える高度な言語であり、現在ではHTML5に対応する通信事業者が増加している。
IntelがMeeGoから撤退することで影響を受けているのは、車載情報機器メーカーだけではない。台湾のPCメーカーであるAcerも、ここ1年ほど、Intelの技術者らと共同でMeeGo関連のプロジェクトに取り組んでいた。
さらに、中国のRed Flag Softwareや台湾のLinPlus Technologiesなど、LinuxベースのOSの開発を手掛けるメーカーも、モバイル向けやIVIシステム向けのMeeGoを開発中だった。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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