なぜ弱い? Intelのテレビ/スマホ関連事業:ビジネスニュース オピニオン(1/2 ページ)
PC/サーバ市場では確固たる地位を持つIntelだが、テレビ/スマートフォン市場では苦戦が続いている。それはなぜなのだろうか。
ここでは、Intelがテレビや携帯電話機市場で苦戦していることについて、筆者の個人的見解を述べてみたい。
Intelは2011年10月、デジタルテレビ向けSoC(System on Chip)の開発から撤退することを表明した。
Intelは2004年にも、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)チップの開発計画を発表し、テレビ市場に参入することを表明したが、同じ2004年には同計画を中止している。
Intelはこれまでに、Yahoo!のテレビ向けアプリケーションフレームワーク「Widget Channel」と、Googleのテレビ向けソフトウェアプラットフォーム「Google TV」用に、SoCの開発/製造を手掛けている。Web対応のテレビにはさまざまな形態があるが、今のところ、x86系プロセッサを採用した製品が登場する見通しはない。
PC市場やサーバ市場では確固たる地位を築いているIntelが、テレビ事業ではなぜ、これほど苦戦を強いられているのか。
問題は、Intelが新たな市場に参入する計画を強引に進めていることにあるのではないだろうか。野心的な戦略を積極的に展開していく意欲は賞賛に値するが、そうした戦略や、Intelが参加するプロジェクトの中には、機器メーカーなどへの配慮が見られないものもある。例えば、Google TVは、放送局への配慮に欠けるものだ。
スマートフォン事業についても、同じことが言える。
Intelは数年前に、同社初となるスマートフォン向けSoCを開発した。x86系プロセッサとフラッシュメモリを1チップに集積したものだ。だが、この製品が市場の注目を集めることはなかった。
Intelは約2年間、スマートフォン市場でAtomプロセッサのシェア獲得に取り組んできた。同社は開発パートナーとしてNokiaと契約したが、新しくNokiaのCEO(最高経営責任者)に就任したStephen Elop氏はMicrosoftと提携することを決定し、Intelとの取引は決裂した。
しかし、Intelは現在もなお、32nmプロセス技術を適用したAtomベースのSoC「Medfield」でスマートフォン市場を狙っている。同社は、2012年に複数のスマートフォンのデザインウィンを獲得したい考えだ。
一方でIntelは、もともとはスマートフォン向けのOSとして開発を進めてきたLinuxベースのモバイル機器向けOS「MeeGo」の開発から撤退することを表明している。MeeGoの開発に携わっていた小規模のソフトウェア企業数社は、1年以上もの開発期間を無駄にしたと感じているかもしれない。Intelはこうした企業に対して、2012年に投入を予定しているLinuxベースの新しいモバイル機器向けOS「Tizen」の開発に移行するよう勧めているという。
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