「制御ソフトの開発効率を高める」、オムロンが制御機器事業の方針を説明:ビジネスニュース 企業動向
長期ビジョン『Value Generation 2020』に沿って変革を進めるオムロン。同社で産業用制御機器を扱うIABカンパニーは、制御ソフトウェアの開発効率を高めるための製品/ツールの展開を加速している。
オムロンは2011年12月5日、東京都内で記者会見を開き、産業用制御機器を扱うIAB(インダストリアルオートメーションビジネス)カンパニーを中心に事業状況を説明した。
同社社長の山田義仁氏は、会見の冒頭で、「2011年6月の社長就任に合わせて、もう一度大きく成長を目指し、変革を実現するための長期ビジョン『Value Generation 2020』(参考記事1)を発表した。それ以降約半年の間にも、欧州の金融危機やタイの洪水被害などがあり事業環境の変化はいっそう激しくなっている。たとえそのような事業環境下でも、変革を着実に進めていきたい」と述べた。
オムロンの中核事業であるIABについては、IABカンパニー社長の藤本茂樹氏が説明を行った。藤本氏は、「制御機器ベンダーとして、『制御』、『品揃え』、『エネルギー』という3つの観点で世界一になることを目指している」と語る。まず制御については、同社製品によって、「顧客の思う通りに機械/装置が動くようになることを目指す」(同氏)とした。この言葉の意図について同氏は、「現在でも思った通り動いているという指摘があるかもしれないが、それは制御ソフトウェアを構築する開発者の努力によって成り立っている。今後、製造ラインの速度やエネルギー効率の向上、高速/高精度になったときの安全対応、グローバル展開などを考慮すると、制御ソフトウェア開発者の努力だけではカバーできなくなる。これに対して、当社の製品を用いれば、思った通りの動作を実現するための制御ソフトウェアの開発をより効率良く行えるようになる」と説明する。その製品の事例として、2011年7月に発表したIntelのプロセッサ「Atom」を搭載するPLC(プログラマブルロジックコントローラ)「Sysmac」(参考記事2)と新たな統合ツールを挙げた。
また、品揃えについては、韓国の競合企業などが提供する低価格品に対抗して、日本品質を保ちつつ低価格化した製品を投入していく。藤本氏は、「一般的には、日本品質を保ちつつ低価格化すれば収益性を圧迫することになるが、決してはそうならないような取り組みを進めている」と語る。さらに、グローバルでのサプライチェーンにおいて、「顧客の手元に製品を早く安く届ける」(同氏)ための体制も整えているという。
最後のエネルギーについては、機械の省エネを低コストで行うための制御技術を提供する方針だ。藤本氏は、「すでにエネルギーの見える化は実現できており、それに従って省エネも実現できている。しかし、省エネを実践する際のコストまでは考慮されていないのが実情だ。例えば、ある企業では、省エネのために機械を停止させる作業にかかる残業代が、省エネで低減できるエネルギーコストを上回っている。このような省エネの取り組みは長続きしない。そこで、当社の制御技術により省エネを低コストで行えるようにしたい」と述べべる。
その他、低価格の製造ラインであるローコストインテリジェントオートメーション(LCIA)の事例としてオムロン上海で試作し社内運用しているはんだ付けロボットや、2012年度〜2013年度前半にSysmacを含めた新製品を続々と投入する方針などを紹介した。
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