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基礎から実証段階へ、実用化の機運高まる電気自動車向けワイヤレス給電ワイヤレス給電技術(3/3 ページ)

スマートフォンやタブレットPCといったモバイル機器を中心に製品化が続く、ワイヤレス給電技術。まだ先だと見られていた電気自動車への展開が、基礎研究から実証段階へと移りつつある。

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 日産自動車は、電気自動車のコンセプトカー「PIVO 3」を展示した(図4、関連記事:「PIVO 3」のクラウドサービス、SNSや検索履歴を走行ルート作成に利用)。

 「呼べば来るクルマ。自動で駐車、自動で充電」という新たなコンセプトを訴えており、ビルやマンションの駐車場において自動走行で駐車したり、駐車中に自動で電池を充放電したり、スマートフォンで呼び出せるといった機能を搭載した。自社開発の電磁誘導技術で、非接触で充電する仕組みになっている。

図4 日産自動車の電気自動車のコンセプトカー「PIVO 3」は、非接触で電池を充電する。自社開発の電磁誘導技術を使う。

 トヨタ自動車は、WiTricityと共同で開発した電気自動車を展示していた(図5)。同社は、電気自動車を蓄電デバイスとして取り込んだスマートグリッドの実証実験を青森県六ヶ所村で進めている。この実証実験の参加者から、冬の屋外で電気自動車の電源ケーブルを抜き差しするのは面倒という声があったという。「電気自動車は走行可能距離がガソリン車に比べて短く、その分だけ充電回数も増える。充電の手間を省くのに有効なワイヤレス充電は、電気自動車だからこそ利用価値のある技術だ」(同社の担当者)。

 現在同社は、低炭素社会システムを実現するための実証プロジェクトを愛知県豊田市で進めている。このプロジェクトにおいて、2〜3年後をメドにワイヤレス給電システムの実証を始めるという。

図5 トヨタ自動車は米国のベンチャー企業、WiTricityと共同で開発した電気自動車を展示した。共鳴方式を採用しており、駐車位置がずれたときにも高い送電効率を維持することが特徴だという。

実用への課題は2つ〜人体保護と標準化〜

 電気自動車を対象にしたワイヤレス給電技術を実用化、そして普及させるための課題は、人体や周囲の電子機器に悪影響を与えないための枠組み作りと、企業間の相互互換性を確保するための標準規格作りの2つである。現在、国際的にはSAE(Society of Automotive Engineers)やIEC/ISO、国内ではワイヤレスブロードバンドフォーラム(WBF)、日本自動車研究所(JARI)の作業部会などを舞台に、標準化の作業が進められている。

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