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2013年の世界半導体市場は低迷、価格の下落やプロセス技術の課題が足かせにビジネスニュース 市場動向

半導体市場は、2012年は成長するも、2013年以降は明るい未来は見えないようだ。米国経済も低迷期に入るとみられており、これに伴って半導体市場も縮小するとアナリストは予測する。

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 米国の市場調査会社であるInternational Business Strategies(IBS)の創設者であり、CEO(最高経営責任者)を務めるHandel Jones氏は、「2012年の世界半導体市場は、成長率6〜7%で伸びる。しかし2013年には、米国経済の低迷による影響を受けて縮小していく」との予測を明らかにした。

 Jones氏は、半導体関連の業界団体であるSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)が、2012年1月17日に米国カリフォルニア州で開催した「ISS(Industry Strategy Symposium)2012」に登壇し、「2012年におけるメモリ市場の世界売上高は、価格の上昇に伴い11%増加する。2012年のメモリ以外の市場の世界売上高も6%増となる」と予測した。

 ただし、同氏によると、2012年の米国経済は、借り入れが継続することで成り立っていくという。米国では現在、再選を目指すオバマ大統領に対し、米国議会の多数を占めている共和党が候補者を立てて政権交代を狙っているという状況にあるからだ。しかし、選挙終了後の2013年には、肥大化する財政赤字を食い止めるために緊縮政策を導入すると予想されることから、米国経済は低迷期に入っていくとみられる。

 Jones氏は、「世界半導体市場の縮小規模を具体的に予測するのは難しい。ただ、極めて深刻な状況に陥る可能性がある」と述べる。

 IBSは、2012年の世界半導体市場の成長率を6〜7%と予測しているが、この数値は、ここ数週間の間に他の市場調査会社が発表した予測値の中でも高い方に入る。例えば、IC Insightsは、IBSと同様に成長率は約7%と予測しているが、IHS iSuppliは3.2%、Gartnerは2.2%とする予測を発表している。

 またiSuppliは、2013年の世界半導体市場の売上高を6.7%増と予測するが、IC Insightsは、2012年に比べて横ばい状態になるとみている。

 Jones氏は講演の中で、「長期的には、プラスとなる要素も数多くある。しかし、半導体業界が現在抱えている大きな問題の1つは、収益の低いメーカーが多いことだ」と述べた。同氏はその理由を、メーカー各社が、価格設定を下げることで市場シェアを拡大しようとしているためだと指摘する。同氏は、1〜2社の半導体チップメーカーが2012年中に破産を申請すると予測している。

 Jones氏は、「半導体チップメーカーは、28nmプロセスにおいて歩留まりの問題を数多く抱えている。特に、高誘電率膜/金属ゲート(High-k/Metal Gate)技術に関する課題は多い。20nmプロセスも非常に難しい技術で、解決しなければならない課題は数多く残されている」と語った。

 同氏は、半導体業界が現在直面している“3つの脅威”として、シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Vias)による3次元積層技術の採用と、3次元ゲート構造のFinFET(立体構造トランジスタ)の導入、450mmウエハーへの移行を取り上げた。

 Jones氏によると、TSVへの移行は今のところ、遅々として進んでいない状態だという。「微細化が進むに連れて、課題の難易度も上がっていく。これまでの経験だけでは解決できないことも多くなっている」(同氏)。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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