Windowsスマホは好調も苦境が続くNokia、2011Q4の利益は73%減少:ビジネスニュース 企業動向
Windowsスマートフォン「Lumia」の売れ行きが好調なNokiaだが、利益は大幅に減少した。Lumiaの売り上げもSymbian端末の低迷をカバーできるほど十分ではなく、かつてのスマートフォントップメーカーを取り巻く状況は、今後も厳しいとみられている。
Nokiaは2012年1月、投資家にとって明るいニュースと暗いニュースの両方を発表した。Microsoftの「Windows Phone 7」を搭載したスマートフォン「Lumia」の販売台数が100万台を上回った一方で、2011年第4四半期の決算では13億8000万米ドルの損失を計上したという。2010年第4四半期の利益が9億8000万米ドルであったことと比べると、大幅な減益となる。
Nokiaの2011年第4四半期の売上高は、スマートフォンの出荷台数が31%減少したことから、前年同期比で21%減と大きく落ち込んだ。また、利益は、同じく前年同期比で73%減少したという。ただし、Windows PhoneのパートナーとしてMicrosoftから2億5000万米ドルを受領したことで、アナリストの予測を上回る結果となった。
Nokiaは、2011年第4四半期の損失の大半は、11億米ドルに及ぶデジタルマッピング関連事業の評価損によるものだとしている。
一方で、アナリストらは「Nokiaにとって厳しい状況が続いているのは、『Symbian』からWindows Phoneへの移行に苦心していることに関係している」と指摘する。
米国の市場調査会社であるIDC(International Data Corporation)で欧州モバイル機器調査マネージャを務めるFrancisco Jeronimo氏は、「Nokiaは、ユーザーインタフェースを改良したSymbianを搭載した端末を新たに数機種発表しているが、同社がこのままSymbianに依存し続けることができないのは明らかだ。Nokiaは、Windows Phoneへの移行を早急に進める必要がある。Symbian搭載端末の販売台数が減少し、平均販売価格(ASP)が低迷していることを考えると、同社がこのままの体制で利益を維持することは難しいだろう」と述べている。
米国のコンサルティング会社であるJ Gold Associatesでアナリストを務めるJack Gold氏も、Jeronimo氏と同様の見解を示している。Gold氏は、「Lumiaを100万台以上売り上げたことは、Nokiaにとって幸先の良い第一歩ではある。しかし、2011年第4四半期におけるAppleのiPhoneの販売台数は3700万台に上っている」と述べる。
Jeronimo氏は、「Nokiaが2007年に発表した『N95』や2009年に発表した『N97』、2010年に発表した『N8』といったSymbian搭載端末に比べると、『Lumia 800』の性能は格段に向上している。さらに、Lumia 800の販売促進のために大規模なマーケティング投資を行ったことも、西欧諸国で予想以上にLumiaの売り上げが伸びた要因となっている」と分析した。
IDCは、「Lumiaの売り上げが好調だったことは、HTC(High Tech Computer)やSamsung ElectronicsのWindows Phone搭載スマートフォン(以下、Windowsスマートフォン)の売り上げにも大いに影響を及ぼした」と述べ、「Nokiaは今後数四半期以内に、Windowsスマートフォン市場で大きなシェアを獲得する」と予想する。
IDCは、NokiaのWindowsスマートフォンの今後の売り上げに対し、楽観的な予測を示しているが、Jeronimo氏とGold氏の両氏は、「Nokiaにとって未来は厳しいものになる」と予想している。
Jeronimo氏は、「Windowsスマートフォンの販売台数は、Symbian搭載端末の売り上げ低迷を相殺できるほど多くはない。Nokiaは、今後も再編計画を推進してコストを削減し、さまざまな価格帯の豊富な商品展開を、より速いペースで進めていく必要がある」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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