世界最大の家電展示会「CES」の表と裏 〜世界はスイートルームで動いているんだぜ〜:EETweets 岡村淳一のハイテクベンチャー七転八起 ―番外編―(1/2 ページ)
毎年1月に、ラスベガスで開催される世界最大規模の家電展示会「International CES」。華やかな展示の陰で、世界中の中小企業がアメリカ市場に進出するためのパートナーを探し求める、実ビジネスの場でもあるのです。
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こんにちは皆さん。EE Times Japanの編集担当者から、先月(2012年1月)参加してきた世界最大規模の家電展示会「International CES」に関連したコラムを執筆してほしいという要望がありました(関連記事)。せっかくですので今回は、「世界はスイートルームで動いているんだぜ〜(サンボマスター風に)」と題して、番外編をお届けします。
CESのさまざまな展示内容に関しては、インターネットメディアも含め多くのマスメディアで既に報道されていますので、取材については素人の小生があらためて報告すべきものは無いですよね〜。ですので番外編では、CESの別の顔を紹介します。華やかな展示会の裏で繰り広げられている新技術の紹介競争を、当社の実体験を基にまとめました。
とその前に、やっぱり展示会といえば、イベントコンパニオンですよね。チョットだけ写真がありますので、華やかな展示会場の雰囲気をまずはお楽しみください(図1)。
CESの主会場は「ラスベガスコンベンションセンター」と呼ぶ施設で、ラスベガスのダウンタウン(中心街)からタクシーで約10〜20分ほどの場所にあります(図2)。ひと言で言えば「CEATEC」が開催されている幕張メッセを一回りも二回りも大きくしたような感じです。展示会場へは、ダウンタウンのホテルと会場を往復しているいるシャトルバスか、タクシーで向かいます。タクシーの運転手に聞いた話では、CESの開催期間中はタクシーが足りなくなるので、運転手を臨時に雇って相当な数を増車しているそうです。そのためもあり、CES開催中のラスベガスの街はニューヨークのようにタクシーが溢れています。
なぜそんなに膨大な数のタクシーが必要かというと、世界中の新興メーカーや機器メーカー/受託開発メーカー(ODM/OEM)、半導体メーカーなどが、CESの開催に合わせ、ラスベガスにやってくるからです。ダウンタウンの高級ホテルのスイートルームでは、新商品の展示や商談の駆け引きが繰り広げられています。
実は当社もCESに初めて参加した昨年の時点では、そんなことがCESの場で行われているとは全く知りませんでした。そこで2年目の今年は作戦変更! まだ自社でスイートルームを借りる余裕はないので、ビジネスパートナーになりそうな企業のスイートルームにデモ用の機材を持ち込んで技術を直接売り込む、ゲリラ作戦を決行しました。
当社のフルデジタルスピーカー向け信号処理技術「Dnote」を売る込むために、できることはなんでもやります(Dnoteについての関連記事その1、その2、その3)。CESの期間中には通常よりも大幅に宿泊費が跳ね上がる高級ホテルは諦めて、ダウンタウンから北に30分ほど離れたモーテル系の安いホテルに陣を取りました。デモ機材をレンタカーに積み込み、安ホテルとダウンタウンの高級ホテルを何度も往復するピストン突撃です。時には現地で芋づる式の紹介もあります。夕食を食べているさなかに携帯電話で「これから来られないか?」という連絡をもらい、夜の10時過ぎにダウンタウンにある高級ホテル「アリアホテル」のロビーに駆け付けたこともありました。
このような活動の実態はなかなか分かりにくいと思います。宿泊したホテルの部屋にあったラスべガス観光案内の地図をもらってきましたので、図2の地図で高級ホテルが密集しているダウンタウンとコンベンションセンターの位置関係を確認してみてください。また、スイートルームでのデモの様子や高級ホテルはこんな感じです(図3、図4)。
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