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Intelの次世代アーキテクチャ「Haswell」、トランザクションメモリをサポートプロセッサ/マイコン

1980年代に提唱されたトランザクションメモリ。その技術が、Intelによって本格的に実用化されるかもしれない。

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 Intelは、同社の次世代アーキテクチャ「Haswell」でトランザクションメモリ(TM)をサポートすることを明らかにした。TMは提唱されてから20年ほどもたっている技術だが、同社はこれを「論文に書かれているだけの技術」から「実用化されている技術」に変えていきたいと考えている。

 Intelは、TMを利用することにより、ソフトウェア開発者が同社のマルチコアプロセッサで並列プログラミングのメリットを引き出しやすくなると期待している。

 CPUコアは、ムーアの法則に沿って、これまで以上の速さで性能の向上が続いている。そして現在マルチコアプロセッサは、ソフトウェア開発者にとって最も大きな課題の1つになっている。マルチコアの性能を最大限に引き出すのは、決して容易なことではない。

 TMは、並列プログラムの記述を簡素化するためのソフトウェア技術である。PC関連技術の記事やホワイトペーパーの発信を手掛ける米国のReal World Technologiesでアナリストを務めるDavid Kanter氏は、Intelが今回TMを採用したことについて考察する記事を発表した。その中で同氏は、「IntelのTMは、ソフトウェア開発者に実際にもたらされる効果と、Intelにとって必要な投資とのバランスを非常にうまく取っている。同社は、既存のコヒーレンシプロトコルを温存しながら、極めて慎重に拡張することでTMのサポートを実現した」と指摘する。

 またKanter氏は、Intelが「HLE(Hardware Lock Elision)」をサポートしたことについて、「ソフトウェア開発者にとっては、既存のコードを大幅に書き換えることなくTMのメリットを享受できるため、中間的なステップとして優れた手法だ」と賞賛している。

 同氏は、IntelのHaswellが「TSX(Transactional Synchronization Extensions)」をサポートしたことによる技術的な成果として、「HaswellのTMは、トランザクションデータやレジスタチェックポイント向けに、コアごとのキャッシュを持たせた、遅延更新システムのようなものだ」とまとめている。

 さらに同氏は、TSXについて、「Azul SystemsやSun Microsystems、TransmetaなどがTSXの採用によりメリットを実現した例もあることから、TSXはさまざまな問題を回避できたといえる」と指摘する。ただしKanter氏は、TSXの成功は、Haswell次第だとも付け加えた。

 Haswellは、初めてトランザクションメモリをハードウェアでサポートするx86プロセッサである。Kanter氏によると、Intelはこれを、分かりやすく論理的でありながら比較的シンプルな手法で実装しているようだという。

 また同氏は、このTMにはまだ調整の余地があるとみており、Intelが将来、投機的マルチスレッディングによりいっそう適したバージョンを複数開発していくと予測する。投機的マルチスレッディングでは、複数のハードウェアスレッド(または複数のコア)を連携させて処理を行うことで、単一のソフトウェアスレッドを加速することができる。

 Kanter氏は、Intelが今のところ、モバイル機器向けのSoC(System on Chip)の他、開発中のチップで50個以上のプロセッサコアを集積する「Knights Corner(開発コード名)」に注力していることを指摘し、「Intelには今後、x86製品ライン全体にTMの適用を拡大していくという道も開かれている」と述べた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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