「2012年はIntelとAMDの競争が激化」、アナリストが分析:ビジネスニュース アナリストリポート
IntelとAMDは、2012年に次世代プロセッサを発表する予定である。また、AMDは「Llano」の新ラインを投入することで、同製品の供給不足の解消に乗り出した。アナリストは、「今後は両社の競争がより激しくなる」と見込んでいる。
AMD(Advanced Micro Devices)は2011年12月、32nmプロセスのAPU(Accelerated Processing Unit)「AMD Aシリーズ(Llano)」の新モデルを投入した。これによって、Llanoの供給不足が解消される可能性があるという。米国の半導体市場調査会社であるInsight64で主席アナリストを務めるNathan Brookwood氏は、「Llanoが市場に十分出回るようになれば、AMDとIntelの競争は今よりも激しくなるだろう」と分析する。
また、同氏は、「より高速なモデルを出荷したことは、Llanoの供給力の向上を意味しているのではないかと考えられる。ただし、初期バージョンの生産は制約されるため、NeweggやAmazonといった小売業者がLlanoを入手しやすくなるとは限らない」と説明した。
Brookwood氏は、「Llanoは、10年間にわたりAMDの主力製品となってきた『K10』コアベースのAPUである。だが、同じ価格帯でx86系プロセッサの性能を求めるとすれば、LlanoよりもIntelの『Sandy Bridge』を選ぶユーザーが多いかもしれない」と述べる。ただし、同氏によると、「グラフィックスに関してはAMDが勝っている」という。「AMDのグラフィックスカード『Radeon』は、IntelのSandy BridgeのGPU(Graphical Processing Unit)コアが提供する性能を上回っている。さらに、AMDは、組み込みコアとディスクリートコアのRadeonを統合することで性能を高め、IntelがNVIDIAの製品では実現できなかった性能を実現した」(同氏)。
しかし、2012年にはIntel、AMDともに次世代プロセッサを発表する予定である。具体的には、Intelはグラフィックス機能の向上をうたった「Ivy Bridge」を投入し、AMDはK10を上回る性能を誇る「Bulldozer」ベースのコアを搭載した「Trinity」を発売する予定だ。そうなれば、グラフィックス機能でもIntelが優勢となる可能性もあるという。
Intelは2011年1月に開催された「2011 International CES(Consumer Electronics Show)」で、次世代プロセッサのデスクトップバージョンを初披露したが、Brookwood氏は「『2012 CES』では次世代プロセッサは披露されない」とみている。
Brookwood氏は、「Ivy Bridgeのリリースは、2012年第1四半期の後半以降になるとみられる。同製品の発売が延期されている理由については、22nmプロセス技術を適用できる準備がまだ整っていないためなのか、それとも、PCI Express Gen3やUSB 3.0に対応する必要があるためなのかは分からない」と説明した。
AMDのTrinityに関しては、「設計は、ほぼ完成しているという見方が強い。AMDは2012年初頭には、Trinityの製造に向けてウエハーの生産体制に入る予定だ」(Brookwood氏)という。同氏は、「TrinityとIvy Bridgeは、2012年のほぼ同時期に発売される」と見込んでいる。
いずれにしても、AMD対Intelという構図が2012年も続くことは、おそらく間違いないだろう。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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