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未来のテレビ、キーワードは“裸眼3D”と“自由視点”ビジネスニュース 市場動向

今後数年間で、どのようなテレビが登場するのだろうか。ISSCCでは、将来のテレビ市場について、専門家たちによるパネルディスカッションが行われた。

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 2012年2月19〜23日に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された半導体集積回路技術の国際会議「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference) 2012」において、パネルディスカッションに参加した専門家たちは、未来のテレビについて語った。テレビは今後、よりスマートで直感的な機能を備え、技術的に優れたより高精細なディスプレイを搭載するようになるという。その中でも特に、専用眼鏡が不要な裸眼3D技術と、立体映像がそこに存在しているかのように視点を自由に変えて見ることができる自由視点テレビ(FTV:Free viewpoint TV)技術の2つが、今後数年間で広く普及すると考えられている。

 LG Electronicsでソフトウェアセンター担当バイスプレジデントを務めるDavid Min氏は、「ここ数年の間に、携帯電話機や通信機器は大きな変化を遂げてきた。テレビも同様に変化していくとみられる。ただしテレビの場合は、携帯電話機とは少し異なる変化を遂げるだろう」と述べている。

 Min氏によると、テレビは将来的に、よりスマートな機能と、より高精細なディスプレイを備えるようになるという。「スマートな機能とは、接続性を提供する機能である。テレビはかつて、単なる媒体に過ぎなかった。しかし、接続性を備えることにより、さらなる高性能化が進んでいる」と述べる。

 パネリストからは、テレビプラットフォームの標準化の必要性を主張する声が多く上がった。Min氏は、「Google TVなどのプラットフォームが今後広く普及するかどうかは、消費者の判断に委ねられている」と述べた。

 東芝のマルチメディアラボラトリーで主任研究員を務める平山雄三氏によると、「3Dテレビの分野では、裸眼3D技術の導入が進む」という。東芝は2010年以来、20インチ型および12インチ型の裸眼3Dテレビを日本国内で販売してきた。さらに2011年には、55インチ型の大画面裸眼3Dテレビを発表している。

 平山氏は、米国の市場調査会社であるDisplaySearchが発表したデータに基づき、3Dテレビ市場規模は、2011年は出荷台数が2500万台を下回り30億米ドルに届かなかったが、2018年には、出荷台数が2億台を上回り、約200億米ドルに達するとの予測を明らかにした。

 また、名古屋大学の教授である谷本正幸氏は、自由視点テレビの最新技術について情報を公開した。自由視点テレビは、搭載している数十個のカメラで3D画像を取り込むため、ユーザーはどの視点からでも画像がそこに存在しているかのように見ることができる。ただ、この技術の商用化はまだかなり先になりそうだ。谷本氏によると、日本は2022年のFIFAワールドカップ招致構想に、サッカーの全試合を自由視点テレビで視聴できるようにすることを盛り込んでいたという。しかし残念ながら、日本は大会の選考に落選してしまった。

裸眼3Dスクリーン
「CEATEC JAPAN 2011」で、情報通信研究機構が披露した200インチ型裸眼3Dスクリーン(関連記事)。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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