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AMDがGLOBALFOUNDRIESとの資本契約を解消、28nm製品の製造に別のファウンダリを使用可能にビジネスニュース

AMDとGLOBALFOUNDRIESは、ウエハー供給契約の改定に合意した。これまで、28nmプロセスでの量産開始や32nmプロセスにおける歩留まりなどの問題から、関係性の悪化もささやかれていた両社だが、互いが納得できるところに着地したようだ。

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 AMD(Advanced Micro Devices)は2012年3月4日、GLOBALFOUNDRIESとのウエハー供給契約の改定に合意したと発表した。AMDは、保有していたGLOBALFOUNDRIESの残りの14%の株式を全て手放して同社へ移行するとともに、同社に対して4億2500万米ドルを支払うことになるという。これに伴いAMDは、28nmプロセスを適用する製品を製造する際、別のファウンダリ企業を利用することが可能になる。GLOBALFOUNDRIESは、2009年にAMDの製造部門がスピンオフして誕生した企業である。

 GLOBALFOUNDRIESは今回、28nmプロセスを採用したAPU(Accelerated Processing Unit)を、一定期間内においてAMD向けに製造するとしていた独占契約を放棄することに合意した。AMDは2011年11月に、GLOBALFOUNDRIESへの28nm APUの発注を中止し、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)のゲートラスト方式による高誘電率膜/金属ゲート(HKMG: High-k/Metal Gate)28nmプロセス技術を採用すると報じられていた(関連ニュース)。

 当時は、「AMDは28nm製品の製造に関して、GLOBALFOUNDRIESとの関係を断ちたいのではないか」との憶測が流れた。GLOBALFOUNDRIESが、28nmプロセス技術での量産を2012年半ばまで開始できないとしていたためだ。また、GLOBALFOUNDRIESの先端技術に関する歩留まり問題が続いていることに対して、AMDが神経をとがらせていたためだとする見方もあった。実際、AMDは、2011年第3四半期の業績を下方修正した際に、GLOBALFOUNDRIESの32nmプロセスにおける生産性の低さを非難していた。さらに32nmプロセスの歩留まり問題は、GLOBALFOUNDRIESの経営陣の更迭にも発展した。同社の元CEO(最高経営責任者)であるDoug Grose氏は2011年夏に退陣し、Ajit Manocha氏がその後を継いで就任している。

 Manocha氏は、2012年3月4日に発表した報道資料の中で、「GLOBALFOUNDRIESにとって今日は、本当の意味で独立したファウンダリ企業として出発する、新時代の幕開けとなる」と述べている。

 またAMDのCEOを務めるRory Read氏は、別の発表資料の中で、「AMDは引き続き、GLOBALFOUNDRIESとの長期にわたる戦略的パートナーシップを構築していく。われわれは2011年に、この協業関係を一段と強化することに成功した。また、GLOBALFOUNDRIESの最近の功績として、当社の製品ラインの希望納期への対応を実現していることについても大変喜ばしく思う」と述べている。

 AMDは、今回の契約内容の改定に基づき、有効な32nmダイに対する2012年の四半期ごとの追加支払い義務を免除される。AMDによれば、この代金が実際に支払われた場合、合計で約4億3000万米ドルに達する見込みだったという。この供給契約は、2011年に32nmプロセスの歩留まり問題が生じていた中、両社が締結した契約である。

 また、AMDによると両社は、2012年のテイクオアペイ協定に基づき、交渉価格で決定したウエハー価格機構を定め、2013年のウエハー価格に関する枠組みも策定したという。

 GLOBALFOUNDRIESによると、2011年第4四半期におけるAMD向けの32nmプロセス適用プロセッサの出荷数量は、同年第3四半期比で80%以上増加し、AMDのプロセッサ製品全体の3分の1に達しているという。またGLOBALFOUNDRIESは、「2011年に、32nmプロセスとHKMGを適用したウエハーの出荷数量が10万枚を超えたのは、当社だけだ」と主張している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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