タブレット向けNANDフラッシュの需要、2015年まではAppleがほぼ独占:ビジネスニュース アナリストリポート
Androidタブレットのシェアが増加するも、いまだにタブレット市場で優位性を維持している「iPad」。シェアが高い上に1台当たりの容量も大きいため、AppleがNAND型フラッシュメモリの需要を独占する状態が続いているという。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliは、「現在、タブレット端末向けに出荷されているNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDフラッシュ)の約80%は、Appleの『iPad』に搭載されている。少なくとも2015年までは、Appleが、タブレット端末向けNANDフラッシュの世界需要をほぼ独占する状態が続く」とする調査報告を発表した。
IHS iSuppliによると、2011年にタブレット端末向けに出荷されたGバイトクラスのNANDフラッシュのうち、iPadに搭載されている割合は、2010年の92%からは減少したものの、78%に上るという。2012年は他のメーカーによる需要も増加すると予想されるが、Appleがタブレット端末向けNANDフラッシュの需要をほぼ独占する状況は続くとみられる。2012年に出荷されるGバイトクラスのNANDフラッシュのうち、Appleによる需要は全体の72%を占めると予想される。IHS iSuppliは、「2015年には、Appleによる需要は全体の58%に落ち着くと予想されるが、それまでは同社がタブレット端末向けNANDフラッシュの大半を購入する状況が続くだろう」と述べている。
IHS iSuppliでメモリ部門のアナリストを務めるDee Nguyen氏は、「当面は、Appleがタブレット端末向けNANDフラッシュの需要を独占する状態が続くとみられるが、その要因は、iPadがタブレット市場で大きなシェアを獲得していることの他に、iPadに搭載されるメモリ容量の大きさにもある。iPadは、タブレット市場におけるハイエンド製品としてのポジションを守るために、競合機種よりも多くのNANDフラッシュを搭載している。このため、iPadは今後数年間にわたり、タブレット市場におけるNANDフラッシュの売上高をけん引する存在であり続けると予想される」と述べている。
タブレット端末向けNANDフラッシュの世界出荷容量は、2015年には合計で163億Gバイト(16.3E(エクサ)バイト)に達すると予想される。これは、2011年の16億Gバイト(1.6Eバイト)の約10倍となる。全世界で出荷されるNANDフラッシュのうち、タブレット端末向けの割合は、2011年の9%から、2015年には17%に増加する見込みだ。
2012年3月に発売される第3世代のiPadは、従来モデルと同じく記憶容量が16G、32G、64Gバイトの3機種を用意しており、販売価格はメモリ容量が増えるごとに100米ドルずつ上乗せされる。IHS iSuppliは、iPad1台当たりに搭載されるNANDフラッシュの平均容量は、2012年には前年比9.4%増の33.8Gバイトになると予測している。
IHS iSuppliによると、iPadの競合製品となるハイエンドタブレット端末の需要は芳しくないという。iPad以外で売り上げを伸ばしているのは、ローエンドモデルのタブレット端末で、搭載するNANDフラッシュの容量は、iPadに比べると格段に小さい。「しかし、“iPadは高くて手が出せない”という消費者にとっては、このようなローエンドモデルのタブレット端末は魅力的な製品だ」と、IHS iSuppliは述べる。
IHS iSuppliは、iPad以外のタブレット端末に搭載されるNANDフラッシュの平均容量は、2012年には20.2Gバイトになると見積もっている。これは、NANDフラッシュの需要全体の3.2%に相当する。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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