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テレビ市場が減少に転じる、ブランド別では韓国勢と日本勢で明暗くっきりビジネスニュース アナリストリポート(1/2 ページ)

市場調査会社の報告によると、2011年の世界のテレビ出荷台数は前年から0.3%減少した。2004年の調査開始以来、マイナス成長を記録したのは今回が初めてだという。ブランド別では韓国勢が強く、日本の家電大手が続く。しかし日本勢は大幅なマイナス成長で、ソニー、パナソニック、シャープは社長が交代する。

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 ディスプレイ分野の市場調査会社である米国のNPD DisplaySearchは2012年3月14日(米国時間)、2011年第4四半期(10〜12月)の世界におけるテレビ市場の出荷実績と薄型テレビの上位ブランド別シェアを発表した。同社によると、2011年通年の世界におけるテレビ市場の出荷実績は2億4770万台で、前年(2010年)から0.3%減少した。同社がこの調査を2004年に始めて以来、マイナス成長を記録したのは今回が初めてだという。

 出荷実績をパネルの種別で見ると、液晶テレビは前年から増加したもののその幅は7%にとどまっており、数量ベースでは2億500万台だった。前年まで毎年2桁の成長率を維持していたことを考えると、かなりの減速だといえる。プラズマテレビは前年比7%減と、同種別ではこれまでの調査で最も大きく低下し、数量は1720万台にとどまった。ブラウン管(CRT)テレビは34%減である。液晶テレビの7%の増加は、これらの落ち込みを補うには足りなかった。

 NPD DisplaySearchでNorth America TV Research部門のディレクターを務めるPaul Gagnon氏によれば、「2011年に需要が低迷した原因は複雑である。液晶テレビは成長したものの、業界の期待を大きく下回ってしまった。低迷をもたらした大きな原因としては、2011年の初期に米国と欧州の市場で在庫の超過が起きたことや、日本市場で政府が2009〜2010年にかけて実施した家電エコポイント制度が終了して需要が急激に落ち込んだなどが挙げられる」という。

 2011年第4四半期(10〜12月)のテレビ市場全体の出荷実績は、前年同期(2010年第4四半期)比で4%減少し、7420万台だった。パネル種別で見ると、液晶テレビは1%しか増加していない(図1)。これも、NPD DisplaySearchが液晶テレビの出荷実績を調査し始めてから最も低い成長率だという。プラズマテレビは8%減、ブラウン管テレビは43%減だった。同社によると、最も落ち込みが激しかったのは日本と西欧で、北米はわずかな増加を記録したという。先進諸国(北米、日本、西欧)をまとめると、2011年第4四半期におけるテレビ全体の出荷実績は前年同期比で21%も減少した。一方、新興国では成長が続いており、テレビ全体で同12%の増加、液晶テレビだけを見ると同20%の増加となっている。

図1
図1 2011年第4四半期の世界におけるテレビのパネル種別ごとの出荷実績 (クリックで画像を拡大) 出典:NPD DisplaySearch、Quarterly Global TV Shipment and Forecast Report - Advanced version

 2011年第4四半期の出荷実績でパネルの種別ごとのシェアを見ると、液晶テレビが全体の86.5%を占め、過去最高のシェアを達成している。同年第3四半期(7〜9月)には83%、前年第4四半期には82%だった。液晶テレビの出荷は、パネルサイズの大きな機種で特に伸びが大きい。価格を積極的に引き下げた機種がホリデーシーズンに投入されたからだ。40インチ以上の液晶テレビが前年同期比で20%増加する一方、40インチを下回る機種は7%減少している。平均販売価格は40インチ/42インチ型で対前年比11%減少しており、60インチ超型に至っては16%以上も低下した。

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