欧州はST-Ericssonを手放せるか、買収に名乗りを上げる中国企業:ビジネスニュース オピニオン(1/2 ページ)
巨額の損失を抱え、売却が秒読み段階に入ったとみられるST-Ericsson。米国企業や中国企業が売却先の候補として挙がっているが、ST-Ericssonを欧州以外の企業に売り渡すことは、欧州にとって半導体分野における面目を失うことになりかねない。
STMicroelectronics(以下、ST)は、ST-Ericssonの売却に同意するよう、Ericssonを説得すべきである。売却先としては、野心のある中国メーカーが適切ではないだろうか。それがSTとEricssonの両社にとって、失敗した合弁事業から最も早く脱却でき、かつ採算の取れる策であると思われる。
ST-Ericssonは現在、巨額の赤字を抱えており、親会社に対する負債額は3事業年度の累計で8億米ドルに及ぶ。3年間の累計赤字額は20億米ドル近い。同社を取り巻く状況は、改善するどころか悪化の一途をたどっている。
プロセッサ大手はまだ動かない
Reuters(ロイター通信)の報道によると、ST-EricssonのCEO(最高経営責任者)の座を2011年末にGiles Delfassy氏から引き継いだ現職のDidier Lamouche氏は、事業再建計画の下、大規模なリストラを敢行するとみられている。ST-Ericssonは、そうした再建計画を終えて初めて、“お買い得”になるといえるだろう。Reutersは、匿名筋の情報として、IntelやAMD(Advanced Micro Devices)がST-Ericssonを獲得する可能性があると伝えている。ただし、この両社は、今後1〜2年間は再建計画の実施を見守り、ST-Ericssonの収益性の向上を見極めるとみられる。
現時点では、STの広報担当者は、Reutersの報道に関するコメントを発表していない。
STもST-Ericssonも、決断を迫られている。現在のところ、ST-Ericssonは、STにとって足かせになっているとしか言えない状況だ。
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