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ベテランを悩ます“いまどきエンジニア” 〜 立ちはだかるコミュニケーションの壁いまどきエンジニアの育て方(1)(2/3 ページ)

「若手とコミュニケーションが取れない」――。このような悩みを抱えるベテランエンジニアは少なくありません。育った時代背景も価値観も大きく異なる世代同士で、スムーズに仕事を進めるにはどうすればよいのか。製造業の開発現場に詳しい著者が、ベテランエンジニアや管理職の皆さんに向けて、若手と向き合い、育てていくヒントを提示します。

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仕事をナメてる?

  • 「先輩社員が教えてくれないので、できません」
  • 「図面の修正を頼まれたのですが、自分が行うべき仕事は他にもあると思います」
  • 「マニュアルがなければ設計できません」

などなど、最近のゆとり世代のエンジニアと話をすると、このような発言が飛び出すことが増えてきました。

 上司からすれば、「理解力が無い」、「やる気が無い」と感じることでしょう。そのうち、上司のあなたの目の前で、スマートフォンをいじり始める始末です。「こいつ、仕事をナメてるのか?」と、あなたの怒りの火に油を注ぎます。

“存在意義”に苦悩する若手

 図1をご覧ください。今後、本連載で登場する架空のエンジニアリング企業「川崎テックデザイン」の組織図と人物相関図です。

図1 川崎テックデザインの組織図と人物相関図
図1 川崎テックデザインの組織図と人物相関図 川崎テックデザインは、創業25年目を迎えた、ネットワーク周辺機器の開発を行う社員数400名の中堅企業。技術力の高さでは定評がある。(クリックで拡大)

 入社2年目の佐々木太郎さんは、ネットワーク周辺機器の開発と販売を行う川崎テックデザインの開発部ハード開発1課に所属するハードウェア設計エンジニアです。同期は隣のハード開発2課の加藤勝也さんです。仕事の上では、長谷川裕也リーダーと田中卓課長がそれぞれ先輩と上司です。他にも20代の先輩エンジニアはいますが、皆忙しく、職場できちんと話ができる人はいません。

 田中課長はそんな佐々木さんを気遣い、長谷川リーダーにOJTをお願いするものの、面倒見が良くない長谷川さんは「自分で勉強しろ」のひと言で片付けてしまいます。早く一人前のエンジニアになってほしいと願う田中課長も、部長から指示されている仕事や雑務に追われています。中途入社のマーケティング部の松田課長は、田中課長の良きアドバイザーです。

 最近、同期の加藤さんが開発に携わった新製品が、近年に無い大ヒット製品になったことで、佐々木さんは加藤さんの環境をうらやましく思っています。「俺のことなんかほったらかしじゃないか…」と悩み始める佐々木さん。就活で苦労した末に、やっと入った会社です。佐々木さんは「バブル時代に入社した課長と話をしてもしようがない」と思い、ますますネガティブモードに入り込んでしまいます。職場での唯一の楽しみは、2歳年下の庶務課の山本かれんさんに会えることくらいです。

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