日本のエレクトロニクス産業、焼け野原から再出発しよう!:EETweets 岡村淳一のハイテクベンチャー七転八起 ―番外編―(2/4 ページ)
ここ数年で、エンジニアを取り巻く「パラダイム」は完全に変わりました。終身雇用という立場に安穏とすることができない時代に突入したことを、誰もが素直に受け入れなければなりません。多くのエンジニアは、もう気付いているはずです。エンジニアが全世界的な基準でしか評価されない時代に突入していることを……。
「危機感」を力に
小生がDRAMの共同開発プロジェクトで駐在した米国のIBMは2000年前後にDRAM事業から撤退し、大規模なリストラを実施しました。当時の友人や知人のエンジニアたちは世界中に散らばりながらも、それぞれにキャリアを生かして「サバイバル」しています。例えば、一番の同僚だった人物は、幾つかの会社を渡り歩いた後にRambusのメモリアーキテクトとして現在はシリコンバレーで働いています。年齢は60歳に近いはずですが、「しぶとい現役」です。
小生がシリコンバレーや韓国の成長企業を訪問した際に感じるのは、地球上のあらゆる地域からスキルのあるエンジニアを集めて、即戦力として活用するのが世界的な潮流だということです。日本人エンジニアだって、もはや活躍の場を世界に求めることをちゅうちょする時代ではないですよね。先日訪問する機会のあったAppleの本社オフィスのカフェテリアは、世界中から集まったさまざまな国のエンジニアで溢れていました。技術力に自信があるなら、活躍の場を海外に求めるのも1つのチャレンジですよね。
小生が大手電機メーカーに勤務していたときの同僚の中で海外企業に転職した50歳前後の知人たちは、今でも現役バリバリのエンジニアです。たまに会うと、「周りは若いエンジニアばかりだよ」と笑いますが、能力で評価される社会では年齢は関係ありません。やる気と能力があれば、いつまでも現役です。もちろん実力次第という世界的な基準での生活は、サラリーマンといえども常に危機と隣り合わせだと思います。
危機感って「ストレスを生むだけじゃないか」と思うかもしれませんが、プロのエンジニアを目指すのであれば、本来は常に意識しなければならない感覚だといえませんか? 危機感があるからこそ、知識を増やしたり、経験を積んだり、新しいアイデアを考えたりといった意欲が自然に湧いてくる。だから、危機感にただおびえるのではなく、それをバネにして新しいことにチャレンジする前向きの姿勢が求められているのではないでしょうか?
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