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もう“低レベル”とは言わせない、成長する中国家電市場ビジネスニュース オピニオン

中国の主要家電メーカーであるTCLが、モーションコントロール機能を備えたAndroidベースのスマートテレビを発売する。中国の家電市場および家電メーカーは、中国の中間所得者層が豊かになっていることもあり、着実に成長を続けているようだ。

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 欧米人は、中国や中国の家電市場に対して誤解していることが多い。中でも、「中国の家電メーカーの役割は、安いコストで機能の乏しいテレビを組み立てて、中国の消費者が購入できるような低価格で販売することである」という認識は、彼らに最もありがちな思い違いといえる。

 欧米人のこうした認識は今や、多くの観点で誤解であることが分かってきた。以下にその根拠を挙げる。

 まず1つ目の根拠は、中国の主要な家電メーカーであるTCLが、Androidベースのスマートテレビを投入することだ。2012年5月23日にHillcrest Labsが発表したところによると、TCLはAndroidベースのスマートテレビの出荷を2012年5月に中国で開始するという。このスマートテレビは、Hillcrest Labsのモーションコントロール向けソフトウェア「Freespace」を搭載している。驚くべきは、モーションコントロール機能を備えたスマートテレビを、最初に中国国内に出荷するということである。中国以外の各国には、2012年後半に出荷を開始する見込みだ。

TCLのスマートテレビ
TCLが発表したスマートテレビは、Hillcrestのモーションコントロールソフトウェア「Freespace」を搭載している。Freespaceは、LGのスマートテレビなどにも採用されている。

 2つ目の根拠として、TCLが異例の速さで、高度な機能を備えたスマートテレビの主要メーカーになりつつある点が挙げられる。Sonyなどが製造した「Google TV」が欧米や日本でもいまだに普及していない中、TCLは中国のスマートテレビ市場の開拓に積極的に乗り出している。TCLの急成長の鍵となったのは、使用許諾を得たソフトウェアと、調達が容易なスマートテレビ向けSoC(System on Chip)である。つまり、Hillcrest Labsと提携したことと、台湾で最大規模の商用チップメーカー(MediaTekあるいはMStar)がAndroidベースのスマートテレビに向けて開発したSoCを採用したことが、TCLの成長を促したとみられる。

 MediaTekは、2012年1月9日〜13日に米国ネバダ州ラスベガスで開催された「2012 International CES」で、ホテルの大広間に集められた招待者のみを対象に、モーションコントロール機能を備えたAndroidベースのテレビ向けSoCを発表した。その際MediaTekは、TCLとの共同開発について問われたものの、コメントを差し控えていた。TCLのAndroidベースのスマートテレビは、Hillcrest Labsのモーションソフトウェアを採用したことで、モーションやジェスチャ、そしてカーソルでの制御が可能となった。

 3つ目の根拠は、中国の中間所得者層が確実に豊かさを増しつつある点である。2011年にAccentureが8カ国(ブラジル、中国、インド、ロシア、フランス、ドイツ、日本、米国)を対象に実施した家電の利用と消費に関する調査によると、3Dテレビやスマートフォンなど最新の家電技術の最も熱心な購入者は中国の消費者だったという。

 4つ目の根拠は、TCLが、2012年第1四半期の液晶テレビの世界シェアランキングにおいて、中国のテレビメーカーとしては初めて上位5社にランクインしたことだ。TCLは製品構成の充実を図っており、中でも製品ラインアップにおけるハイエンド製品の比率を高めている。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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