「中国は偽造部品を野放しにしている」、米軍事委員会が取り締まりの強化を要請:ビジネスニュース
偽造チップの問題がいよいよ深刻になっている。米軍が使用する機器からも偽造部品が大量に見つかっており、米国の上院軍事委員会は「国家の安全を脅かす事態」として懸念を表明した。偽造部品の主な出どころとみられる中国を厳しく非難し、取り締まりの強化を求めている。
上院軍事委員会(Senate Armed Services Commitee)が提出した報告書によると、米軍が使用する関連機器のハードウェアで偽造電子部品が発見されたケースは1800件に及び、偽造とみられる電子部品の数は100万個以上に達するという。大量の軍用機、ヘリコプター、ミサイルシステム、電子戦システムが影響を受けているとみられる。
1年間にわたる調査により、偽造部品は主に中国から供給され、国防に不可欠な防衛システムに用いられてきたことが判明した。同委員会が作成した112ページの報告書では、空軍最大の貨物輸送機で偽造部品が発見されたケースや、特殊作戦用ヘリコプターや海軍の偵察機に向けた部品に偽造部品が用いられていたケースなどを特に取り上げている。
上院軍事委員会で委員長を務めるCarl Levin氏(ミシガン州選出の民主党上院議員)は、報道発表資料の中で、「今回の報告書では、主に中国から流入している大量の偽造部品が、国家や米軍の安全の他、アメリカ国民の雇用をいかに脅かしているのかをまとめている」と述べた上で、「報告書では、市場の取り締まりを怠り、偽造部品を野放しにした中国政府の失態を強調した。中国政府は、こうした怠慢を是正すべきである」と付け加えた。
報告書は、偽造と疑われる電子部品のうち70%以上が中国から供給されたものだと結論づけている。中国に続いて、英国とカナダも偽造電子部品の供給元として挙げられているが、上院軍事委員会は、英国とカナダから調達した偽造部品が、そもそも中国で製造されたものを再販したものであることを確認しているという。
また同報告書は、「厳密に審査されていないサプライヤから部品を仕入れるということは、国防総省(Department of Defense)や軍事関連の請負業者が、防衛システムに用いる部品の大本の供給源を認識していないということでもある。結果的に、国家や軍関係者の安全を脅かす可能性がある」と指摘している。
さらに、軍事関連の請負業者が、偽造と疑われる部品が用いられていることを認識していたにもかかわらず、国防総省に速やかに報告しなかったことも伝えている。
報告書では、業者による偽造部品の供給の一例として、電子部品サプライヤであるHong Dark Electronic Tradeが、国防総省のサプライチェーンに8万4000個もの偽造とみられる電子部品を供給したケースが挙げられている。これらの部品は、数々の軍事プラットフォームに配備される航空機衝突防止警報装置(Traffic Alert and Collision Avoidance systems)に用いられた他、誘導砲弾「Excalibur」や海軍の潜水艦の画像処理システム、陸軍の装甲車の移動式機関砲などに使われたという。
【翻訳:米盛章弘、編集:EE Times Japan】
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