「コードレス電話を宅内ネットの核にする」、今夏からDECTが本格展開へ:無線通信技術 DECT
「DECT Forum」は、無線通信関連の展示会/セミナー「ワイヤレスジャパン」に初めてブースを構えた。2012年6月末までに完成見込みの低消費電力版DECTを、ホームオートメーション分野に売り込む。
デジタルコードレス電話機用の無線通信規格「DECT」の業界団体「DECT Forum」は、無線通信関連の展示会/セミナー「ワイヤレスジャパン2012」(2012年5月30日〜6月1日、東京ビッグサイト)にブースを構えた。打ち出したメッセージは、「ホームオートメーションに適したDECT」だ。同団体がワイヤレスジャパンに単独出展するのは今回が初めてである。
ホームオートメーションやヘルスケアを対象にした低消費電力版のDECT方式「DECT Ultra Low Energy(DECT ULE)」の策定作業が2012年6月末までに完了し、Dialog semiconductorやDSP Group、Lantiqといった半導体ベンダーが2012年秋から冬にかけて対応チップを市場投入する見込みだという。
消費電力を半減した「DECT ULE」
DECTは、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が1992年に策定した規格。欧州や米国のデジタルコードレス電話機に広く採用されている。日本では、2010年10月に総務省によりデジタルコードレス電話機の無線局の技術基準が改正され、1.9GHz帯を使うデジタルコードレス電話機の通信方式として京セラが提案したsPHSと、DECTの2つが使えるようになった。
DECT方式の特徴は、1.9GHz帯を使うため、他の機器との干渉が発生しにくいことや、周波数チャネルの使用状況を常時モニタリングし、自動的に最適なチャネルを選択することで効率良く周波数帯域を利用できることなどである。通信距離は、見通しで300m以上、屋内で50m程度だという。
DECT ULEは、このようなDECT方式の特徴はそのままに、消費電力を半分以下に削減した新方式である。消費電流は、スタンバイ時にμAオーダーと小さく、2つの単3電池を使ったとき、非同期モード(イベントトリガ起動)で最大10年、同期モード(間欠起動)で最大4年、端末を動作させることができると主張する。ネットワーク構成は、スター型またはツリー型である。DECT ULEに対応したセンサー端末やホームオートメーション端末は、DECT対応のコードレス電話機やホームゲートウェイを仲介役としてインターネットに接続できる。
2012年2月には、日本国内においてDECT方式の普及を促すことを目的に、ジャパンワーキンググループが設立された(関連記事)。メンバーは、サジェムコム、ダイアログ・セミコンダクター、日本DSPグループ、NEC、パナソニック システムネットワークス、ユニデン、ランティック ジャパンの7社である。
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