成長する中国の民生機器IC市場、外国企業が生き残るための4つのキーワード:ビジネスニュース オピニオン(2/2 ページ)
中国の民生機器IC市場において、外国企業は、もはや地元の企業に太刀打ちできなくなっているという。では、中国企業と外国企業は何が違うのか。そして、外国企業が中国市場で生き残るには、何が必要になるのだろうか。
Tai氏は、中国市場で生き残るためのキーワードを4つ挙げた。
その1 サイクル期間
中国の携帯電話機メーカーのサイクル時間は極めて短い。中国以外のメーカーの設計サイクルは6カ月(Nokiaの場合は1年)であることが多いが、中国の携帯電話機メーカーは3カ月ごとに新機種を投入している。
その2 市場の情報
中国の携帯電話機ベンダーは、半導体サプライヤに対し、市場需要に関する情報をほとんど提供しない。そのため、半導体サプライヤは、市場需要の急増に対応できるよう市場動向を常につかんでおく必要がある。中国市場で台頭するにはスピードが全てだ。中国市場の浮き沈みに対応できる柔軟性が不可欠になる。
その3 低い粗利益率
半導体メーカーは、低い粗利益率で生き残りをかけなければならない。Tai氏によれば、中国の半導体メーカーのほとんどは、35%の粗利益率を確保できていれば、営業利益率20%を達成できるという。しかし、大半の外国企業にとって、同じように20%の営業利益率を達成しようとすると、50〜55%の粗利益率を確保する必要がある。このため同氏は、「外国企業が太刀打ちできるはずがない」と指摘する。
その4 迅速なサポート
中国のシステムベンダーは、技術力で劣る点があるため、より多くのサポートを必要とする。台湾のMediaTekが中国で成功することができたのは、同社が中国のシステムメーカーにターンキーソリューションを提供したためだ。
Tai氏は、「外国企業の事業モデルは、100人のエンジニアチームで6カ月ごとに新しいシステムを開発するという形態を維持している。一方中国では、わずか5〜10人足らずのエンジニアチームが、3カ月毎に新製品を開発している。外国企業にとっては信じ難い状況だろう」と述べる。
さらに、外国企業は、製品のアップグレードが遅い上に、顧客からのクレームへの対応にも時間を要する。Tai氏は、「われわれは直ちに顧客の元へ社員を送り、迅速に問題に対処することができる。外国企業の主要な研究開発チームは、米国など中国以外の国に拠点があるため、問題を解決するには何度もメールをやり取りしなければならない」と指摘する。
多くの欧米企業は、中国企業のコストの優位性に注目する。しかし、それよりも、中国半導体メーカーおよびシステムメーカーの敏しょう性を注視すべきだ。Tai氏は、「われわれは現地企業である。研究開発チームもフィールドアプリケーションエンジニアも中国国内にいる。これこそが、外国企業に対する大きな強みだ」と述べている。
RDAの売上高は、2010年は1億9120万米ドルだったが、2011年にはその51.1%増となる2億8890万米ドルに達し、記録的な伸びをみせた。また、2011年における同社の粗利益率は、2010年の29.8%から34.5%に増加している。2012年第1四半期の業績に関しては、売上高が7200万米ドル、粗利益率35.9%、営業利益率20%を達成した。同社の現金保有額は1億4300万米ドルで、負債はない。現在の従業員数は320名である。
【翻訳:田中留美、米盛章弘、編集:EE Times Japan】
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