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太陽光を無駄なく使う、201X年の技術エネルギー技術 太陽電池(4/5 ページ)

再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まり、太陽電池は激しい価格競争に入っている。このようなときこそ、太陽電池の高効率化を忘れてはならない。なぜなら、変換効率を高めることが、低システムコスト実現に役立つからだ。変換効率向上に対してどのような手法が有望で、どこまで高められるのか、解説した。

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集光+多接合+熱利用で飛躍する

 太陽光のスペクトルに合わせて複数の半導体を組み合わせて重ね、効率よく光のエネルギーを取り出せる多接合が高効率化の主な方向性だ。この他に高効率化を狙える手法はないのだろうか。

 1つの手法は、太陽光ではなく太陽熱の利用を考えることだ。太陽熱は太陽光よりも古くから利用されてきた。鏡などで太陽光を集光し、水を沸騰させて蒸気タービンを動かして発電する。このため、熱機関としての効率の制約を受けるものの、半導体のバンドギャップに由来する制約はない*6)

*6) エネルギーを熱の形で蓄えることができるため、発電システムの出力変動が太陽光を利用する場合よりも穏やかになり、日没後も短時間であれば発電が続けられるという特長がある。

 太陽熱を利用して発電する大規模なシステムも既に実用化されている。例えば、米Googleは2011年に1億6800万米ドルを米国企業であるBrightSource Energyが建設中の世界最大規模の太陽熱発電所「Ivanpah Solar Electric Generating System(ISEGS)」(出力392MWを予定)に投資している(関連記事)。

 集光型太陽光発電システムと太陽熱を組み合わせると、エネルギー効率はより高まる。スマートソーラーインターナショナルの社長で、東京大学先端科学技術センターの特任教授でもある富田孝司氏によれば、出力250Wの集光型太陽光発電システムから200Wの熱を得ることができるため、合計すれば、Si太陽電池の3倍の効率を得ることができるのだという。

 発電した電力で生活に利用する給湯設備を動かすことを考えれば、太陽光発電で発生す熱は、冷却しなければならない邪魔者ではなく、有効なエネルギー源だという考え方だ。

 同社は2012年6月、集光型太陽熱発電事業に取り組む米Sopogyと業務提携を結び、発電と蓄熱を組み合わせたシステムを販売すると発表している(図3)。


図3 熱を利用可能な集光型太陽光発電システム 太陽光の高度を追尾するため、1日当たりの発電量が多くなる。特に早朝や日没前に得られる電力が増える。なお、装置中央の棒状の部分に多接合太陽電池が入っており、集光用の鏡に映っている。棒状の部分には冷却用の液体も流れる。その液体が電動ポンプを使わずに自然循環するように設計したことが特徴だ。

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